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April 20, 2023 Vol. 388 No. 16

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高齢者における 2 価 RS ウイルス融合前 F 蛋白ワクチンの有効性と安全性
Efficacy and Safety of a Bivalent RSV Prefusion F Vaccine in Older Adults

E.E. Walsh and Others

背景

RS ウイルス(respiratory syncytial virus:RSV)感染は,高齢者に重大な疾患を引き起こす.現在臨床試験中の 2 価の RSV 融合前 F 蛋白ベース(RSVpreF)ワクチンの,この集団における有効性と安全性は明らかにされていない.

方 法

現在進行中の第 3 相試験で,成人(60 歳以上)を,RSVpreF ワクチン 120 μg(RSV A 型 60 μg,RSV B 型 60 μg)の単回筋肉内注射を行う群と,プラセボ注射を行う群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,2 つ以上の徴候または症状を伴う季節性 RSV 関連下気道疾患に対するワクチンの有効性と,3 つ以上の徴候または症状を伴う季節性 RSV 関連下気道疾患に対するワクチンの有効性の 2 つとした.副次的エンドポイントは,RSV 関連急性呼吸器疾患に対するワクチンの有効性とした.

結 果

中間解析(データカットオフ日 2022 年 7 月 14 日)の時点で,34,284 例が,RSVpreF ワクチン(17,215 例)またはプラセボ(17,069 例)の接種を受けていた.2 つ以上の徴候または症状を伴う RSV 関連下気道疾患は,ワクチン群では 11 例(観察期間 1,000 人年あたり 1.19 例),プラセボ群では 33 例(観察期間 1,000 人年あたり 3.58 例)に発生し(ワクチン有効率 66.7%,96.66%信頼区間 [CI] 28.8~85.8),3 つ以上の徴候または症状を伴うものは,それぞれ 2 例(観察期間 1,000 人年あたり 0.22 例)と 14 例(観察期間 1,000 人年あたり 1.52 例)に発生した(ワクチン有効率 85.7%,96.66% CI 32.0~98.7).RSV 関連急性呼吸器疾患は,ワクチン群では 22 例(観察期間 1,000 人年あたり 2.38 例),プラセボ群では 58 例(観察期間 1,000 人年あたり 6.30 例)に発生した(ワクチン有効率 62.1%,95% CI 37.1~77.9).局所反応の発現率は,ワクチン群(12%)のほうがプラセボ群(7%)よりも高く,全身反応の発現率は同程度であった(それぞれ 27%,26%).注射後 1 ヵ月までに報告された有害事象の発現率も同程度であり(ワクチン群 9.0%,プラセボ群 8.5%),試験担当医師が注射に関連すると判断した有害事象の発現率は,それぞれ 1.4%と 1.0%であった.重度または生命を脅かす有害事象は,ワクチン接種者の 0.5%とプラセボ接種者の 0.4%で報告された.重篤な有害事象は,データカットオフ日までに各群の参加者の 2.3%で報告された.

結 論

成人(60 歳以上)において,RSVpreF ワクチンは RSV 関連下気道疾患と RSV 関連急性呼吸器疾患を予防し,明らかな安全性の懸念は認められなかった.(ファイザー社から研究助成を受けた.RENOIR 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05035212,EudraCT 登録番号 2021-003693-31)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 1465 - 77. )