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April 20, 2023 Vol. 388 No. 16

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肺動脈性肺高血圧症の治療に用いるソタテルセプトの第 3 相試験
Phase 3 Trial of Sotatercept for Treatment of Pulmonary Arterial Hypertension

M.M. Hoeper and Others

背景

肺動脈性肺高血圧症は,肺血管の増殖性リモデリングを伴う進行性疾患である.治療法の進歩にもかかわらず,関連する合併症発生率と死亡率は依然として高い.ソタテルセプト(sotatercept)は,肺動脈性肺高血圧症に関与するアクチビンと増殖分化因子を捕捉する融合蛋白である.

方 法

多施設共同二重盲検第 3 相試験を行い,肺動脈性肺高血圧症(世界保健機関 [WHO] 機能分類 II 度または III 度)を有し,安定した基礎治療を受けている成人を,ソタテルセプト(開始用量 0.3 mg/kg 体重,目標用量 0.7 mg/kg)を 3 週ごとに皮下投与する群と,プラセボを投与する群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,24 週の時点での 6 分間歩行距離のベースラインからの変化量とした.副次的エンドポイントは,複数項目の改善,肺血管抵抗の変化量,N 末端プロ B 型ナトリウム利尿ペプチド濃度の変化量,WHO 機能分類の改善,死亡または臨床的悪化までの期間,フレンチリスクスコア,「肺動脈性肺高血圧症の症状と影響(PAH-SYMPACT)」の身体への影響スコア,心肺症状スコア,認知/感情への影響スコアの変化量の 9 つとし,この順序で階層的検定を行った.これらの評価は 24 週の時点で行い,死亡または臨床的悪化までの期間については,最後の患者が 24 週時の受診を完了した時点で評価した.

結 果

163 例がソタテルセプト群,160 例がプラセボ群に割り付けられた.24 週の時点での 6 分間歩行距離のベースラインからの変化量の中央値は,ソタテルセプト群 34.4 m(95%信頼区間 [CI] 33.0~35.5),プラセボ群 1.0 m(95% CI -0.3~3.5)であった.ソタテルセプト群とプラセボ群との差のホッジス–レーマン推定値は,40.8 m(95% CI 27.5~54.1,P<0.001)であった.最初の 8 つの副次的エンドポイントは,ソタテルセプト群でプラセボ群と比較して有意に改善したが,PAH-SYMPACT の認知/感情への影響スコアは改善しなかった.ソタテルセプト群のほうがプラセボ群よりも頻度が高かった有害事象は,鼻出血,浮動性めまい,毛細血管拡張,ヘモグロビン上昇,血小板減少症,血圧上昇などであった.

結 論

安定した基礎治療を受けている肺動脈性肺高血圧症患者において,ソタテルセプトは,プラセボと比較して運動耐容能(6 分間歩行試験で評価)を大きく改善した.(アクセルロン ファーマ社 [MSD 社の子会社] から研究助成を受けた.STELLAR 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04576988)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 1478 - 90. )