April 20, 2023 Vol. 388 No. 16
インドにおける腸チフスおよびパラチフスの負担
Burden of Typhoid and Paratyphoid Fever in India
J. John and Others
2017 年,世界の腸チフス症例の半数以上がインドで発生したと推定された.最新の人口ベースのデータがないために,インドにおける腸チフスによる入院の減少傾向が,抗菌薬投与の増加を反映しているのか,感染の真の減少を反映しているのか明らかでない.
2017~20 年に,インドの都市部の 3 地域と,農村部の 1 地域(計 4 地域)の生後 6 ヵ月~14 歳の小児の前向きコホートで,急性熱性疾患のサーベイランスを週 1 回行い,腸チフス(血液培養で確認)の発生率を測定した.別の都市部の 1 地域と農村部の 5 地域で,発熱のあった入院患者の血液培養検査と医療利用に関する調査データを組み合わせて,地域における発生率を推定した.
4 地域のコホートには小児 24,062 例が組み入れられ,観察期間は 46,959 人年となった.これらの小児のうち,培養で確認された腸チフスは 299 例あり,100,000 人年あたりの発生率は都市部 3 地域で 576~1,173 例,農村部のプネで 35 例であった.病院サーベイランスから求めた腸チフスの発生率の推定値は,生後 6 ヵ月~14 歳の小児では 100,000 人年あたり 12~1,622 例,15 歳以上では 100,000 人年あたり 108~970 例であった.Salmonella enterica 血清型 Paratyphi が小児 33 例から分離され,年齢で補正後の全体的な発生率は 100,000 人年あたり 68 例であった.
インド都市部の腸チフスの発生率は依然として高く,農村部の大部分では,都市部よりも全般的に低いと推定される.(ビル&メリンダ・ゲイツ財団から研究助成を受けた.NSSEFI 試験:Clinical Trials Registry of India 番号 CTRI/2017/09/009719,ISRCTN 登録番号 ISRCTN72938224)