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April 27, 2023 Vol. 388 No. 17

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前立腺癌に対する監視療法,手術,放射線療法のいずれかによる治療後 15 年の転帰の比較
Fifteen-Year Outcomes after Monitoring, Surgery, or Radiotherapy for Prostate Cancer

F.C. Hamdy and Others

背景

1999~2009 年に,英国で行われた試験で,50~69 歳の男性 82,429 人が前立腺特異抗原(PSA)検査を受けた.2,664 例が限局性前立腺癌と診断された.このうち 1,643 例が 3 つの治療法の有効性を評価するために無作為化され,545 例が積極的監視療法を行う群,553 例が前立腺全摘除術を行う群,545 例が放射線療法を行う群に割り付けられた.

方 法

追跡期間中央値 15 年(範囲 11~21)の時点で,この集団における前立腺癌死(主要転帰)と,全死因死亡,転移,病勢進行,長期アンドロゲン除去療法の開始(副次的転帰)の結果を比較した.

結 果

1,610 例(98%)が追跡調査を完了した.いくつかのリスク層別化法に基づくと,診断時に中~高リスクの前立腺癌であった割合は 1/3 を超えていた.前立腺癌死は 45 例(2.7%)に発生し,内訳は積極的監視療法群 17 例(3.1%),前立腺全摘除術群 12 例(2.2%),放射線療法群 16 例(2.9%)であった(全体の比較について P=0.53).全死因死亡は 356 例(21.7%)に発生し,死亡数は 3 群で同程度であった.転移は,積極的監視療法群の 51 例(9.4%),前立腺全摘除術群の 26 例(4.7%),放射線療法群の 27 例(5.0%)に認められた.長期アンドロゲン除去療法はそれぞれ 69 例(12.7%),40 例(7.2%),42 例(7.7%)で開始され,臨床的進行はそれぞれ 141 例(25.9%),58 例(10.5%),60 例(11.0%)に認められた.積極的監視療法群では,追跡終了時に 133 例(24.4%)が前立腺癌の治療を受けることなく生存していた.ベースラインの PSA 値,腫瘍の病期または悪性度,リスク層別化スコア別のサブグループでは,癌特異的死亡率に差を生じさせる影響は認められなかった.10 年の時点で行った解析のあと,新たな治療合併症は報告されなかった.

結 論

15 年間の追跡後,前立腺癌特異的死亡率は,割り付けられた治療にかかわらず低かった.したがって,限局性前立腺癌に対する治療を選択する際は,治療に伴う利益と害の兼合いを検討する必要がある.(英国国立健康研究所から研究助成を受けた.ProtecT 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN20141297,ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02044172)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 1547 - 58. )