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April 27, 2023 Vol. 388 No. 17

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医療従事者の Covid-19 予防を目的とした BCG ワクチンの無作為化試験
Randomized Trial of BCG Vaccine to Protect against Covid-19 in Health Care Workers

L.F. Pittet and Others

背景

カルメット–ゲラン菌(BCG)ワクチンは,新型コロナウイルス感染症(Covid-19)を予防するのではないかという仮説が立てられている,「オフターゲット」の免疫調節効果をもつ.

方 法

国際共同二重盲検プラセボ対照試験で,医療従事者を,BCG-Denmark ワクチンを接種する群と,プラセボとして生理食塩水を投与する群に無作為に割り付け,12 ヵ月間追跡した.有症状の Covid-19 と重症 Covid-19 を主要転帰とし,6 ヵ月の時点で評価した.主要解析は,ベースライン時に重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)の検査が陰性であった参加者に限定した,修正 intention-to-treat 集団を対象とした.

結 果

3,988 例が無作為化された.Covid-19 ワクチンが入手可能となったため,計画されたサンプル数に達する前に募集は中止された.修正 intention-to-treat 集団は無作為化された参加者の 84.9%で構成され,BCG 群 1,703 例,プラセボ群 1,683 例であった.6 ヵ月までの有症状の Covid-19 の推定リスクは,BCG 群 14.7%,プラセボ群 12.3%であった(リスク差 2.4 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -0.7~5.5,P=0.13).6 ヵ月までの重症 Covid-19 の推定リスクは,BCG 群 7.6%,プラセボ群 6.5%であった(リスク差 1.1 パーセントポイント,95% CI -1.2~3.5,P=0.34).この試験の重症 Covid-19 の定義を満たした参加者の大多数は,入院はしなかったが,3 日以上連続で労働できなかった.より緩やかな打ち切りルールを用いた補足的解析と感度分析では,リスク差は同程度であったが,信頼区間は狭くなった.Covid-19 による入院は各群 5 件あった(プラセボ群の死亡 1 件を含む).BCG 群における Covid-19 の全エピソードのハザード比は,プラセボ群との比較で 1.23(95% CI 0.96~1.59)であった.安全性の懸念は認められなかった.

結 論

BCG-Denmark ワクチンの接種により,医療従事者の Covid-19 のリスクはプラセボよりも低くならなかった.(ビル&メリンダ・ゲイツ財団ほかから研究助成を受けた.BRACE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04327206)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 1582 - 96. )