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May 4, 2023 Vol. 388 No. 18

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乳癌後に妊娠を試みるための内分泌療法の中断
Interrupting Endocrine Therapy to Attempt Pregnancy after Breast Cancer

A.H. Partridge and Others

背景

ホルモン受容体陽性早期乳癌の女性が妊娠を試みるために内分泌療法を一時中断した場合の再発リスクについて,前向きデータは不足している.

方 法

乳癌の既往を有する若年女性を対象として単群試験を行い,妊娠を試みる目的で行う術後補助内分泌療法の一時中断を評価した.42 歳以下,乳癌のステージが I,II,III,術後補助内分泌療法を受けた期間が 18~30 ヵ月の,妊娠を望む女性を適格とした.主要エンドポイントは,追跡期間中の乳癌イベント(同側浸潤性乳癌の局所再発,領域再発,遠隔再発,対側浸潤性乳癌の発生と定義)の発生数とした.主要解析は,追跡期間が 1,600 患者年に達した時点で行う予定とした.事前に規定した安全性の閾値は,1,600 患者年における乳癌イベント 46 件とした.治療中断群における乳癌の転帰を,この試験の組入れ基準を満たすと思われた女性からなる,外部の対照コホートにおける転帰と比較した.

結 果

解析対象とした 516 例の年齢中央値は 37 歳,乳癌の診断から組入れまでの期間の中央値は 29 ヵ月で,93.4%はステージ I または II の乳癌であった.妊娠の状況を追跡しえた 497 例のうち,368 例(74.0%)が 1 回以上妊娠し,317 例(63.8%)が 1 人以上生児を出産した.計 365 人の児が出生した.追跡期間 1,638 患者年(追跡期間中央値 41 ヵ月)の時点で,乳癌イベントは 44 例に発生し,安全性の閾値を超えなかった.乳癌イベントの 3 年発生率は,治療中断群で 8.9%(95%信頼区間 [CI] 6.3~11.6),対照コホートで 9.2%(95%CI 7.6~10.8)であった.

結 論

ホルモン受容体陽性早期乳癌の既往を有する,選択された女性において,妊娠を試みる目的で内分泌療法を一時中断しても,遠隔再発を含む乳癌イベントの短期リスクは,外部の対照コホートと比較して高くならなかった.長期安全性の情報を得るには,さらなる追跡が不可欠である.(ETOP IBCSG パートナーズ財団ほかから研究助成を受けた.POSITIVE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02308085)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 1645 - 56. )