The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

May 4, 2023 Vol. 388 No. 18

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

難治性転移性大腸癌に対するトリフルリジン・チピラシル配合剤とベバシズマブの併用
Trifluridine–Tipiracil and Bevacizumab in Refractory Metastatic Colorectal Cancer

G.W. Prager and Others

背景

先行する第 3 相試験では,転移性大腸癌患者に対するトリフルリジン・チピラシル配合剤(FTD–TPI)の投与により,全生存期間が延長した.単群第 2 相試験と無作為化第 2 相試験の予備的データから,ベバシズマブに FTD–TPI を追加することにより,生存期間が延長する可能性が示唆されている.

方 法

進行大腸癌の治療として受けた化学療法レジメンが 2 種類以下の成人患者を,FTD–TPI+ベバシズマブを投与する群(併用群)と,FTD–TPI のみを投与する群(FTD–TPI 群)に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは全生存期間とした.副次的エンドポイントは無増悪生存期間と安全性とし,安全性には,米国東部癌共同研究グループ(ECOG)のパフォーマンスステータス(PS)スコア(0~5 で,数値が高いほど障害が大きいことを示す)が,0 または 1 から 2 以上に悪化するまでの期間を含めた.

結 果

各群に 246 例が割り付けられた.全生存期間の中央値は,併用群で 10.8 ヵ月,FTD–TPI 群で 7.5 ヵ月であった(死亡のハザード比 0.61,95%信頼区間 [CI] 0.49~0.77,P<0.001).無増悪生存期間の中央値は,併用群で 5.6 ヵ月,FTD–TPI 群で 2.4 ヵ月であった(病勢進行または死亡のハザード比 0.44,95% CI 0.36~0.54,P<0.001).両群でとくに頻度が高かった有害事象は,好中球減少症,悪心,貧血であった.治療関連死は報告されなかった.ECOG PS スコアが 0 または 1 から 2 以上に悪化するまでの期間の中央値は,併用群で 9.3 ヵ月,FTD–TPI 群で 6.3 ヵ月であった(ハザード比 0.54,95% CI 0.43~0.67).

結 論

難治性転移性大腸癌患者において,FTD–TPI+ベバシズマブの投与により,FTD–TPI 単独と比較して全生存期間が延長した.(セルヴィエ社,大鵬オンコロジー社から研究助成を受けた.SUNLIGHT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04737187,EudraCT 登録番号 2020-001976-14)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 1657 - 67. )