難治性転移性大腸癌に対するトリフルリジン・チピラシル配合剤とベバシズマブの併用
Trifluridine–Tipiracil and Bevacizumab in Refractory Metastatic Colorectal Cancer
G.W. Prager and Others
先行する第 3 相試験では,転移性大腸癌患者に対するトリフルリジン・チピラシル配合剤(FTD–TPI)の投与により,全生存期間が延長した.単群第 2 相試験と無作為化第 2 相試験の予備的データから,ベバシズマブに FTD–TPI を追加することにより,生存期間が延長する可能性が示唆されている.
進行大腸癌の治療として受けた化学療法レジメンが 2 種類以下の成人患者を,FTD–TPI+ベバシズマブを投与する群(併用群)と,FTD–TPI のみを投与する群(FTD–TPI 群)に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは全生存期間とした.副次的エンドポイントは無増悪生存期間と安全性とし,安全性には,米国東部癌共同研究グループ(ECOG)のパフォーマンスステータス(PS)スコア(0~5 で,数値が高いほど障害が大きいことを示す)が,0 または 1 から 2 以上に悪化するまでの期間を含めた.
各群に 246 例が割り付けられた.全生存期間の中央値は,併用群で 10.8 ヵ月,FTD–TPI 群で 7.5 ヵ月であった(死亡のハザード比 0.61,95%信頼区間 [CI] 0.49~0.77,P<0.001).無増悪生存期間の中央値は,併用群で 5.6 ヵ月,FTD–TPI 群で 2.4 ヵ月であった(病勢進行または死亡のハザード比 0.44,95% CI 0.36~0.54,P<0.001).両群でとくに頻度が高かった有害事象は,好中球減少症,悪心,貧血であった.治療関連死は報告されなかった.ECOG PS スコアが 0 または 1 から 2 以上に悪化するまでの期間の中央値は,併用群で 9.3 ヵ月,FTD–TPI 群で 6.3 ヵ月であった(ハザード比 0.54,95% CI 0.43~0.67).
難治性転移性大腸癌患者において,FTD–TPI+ベバシズマブの投与により,FTD–TPI 単独と比較して全生存期間が延長した.(セルヴィエ社,大鵬オンコロジー社から研究助成を受けた.SUNLIGHT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04737187,EudraCT 登録番号 2020-001976-14)