複雑な病変の PCI のガイドに血管内イメージングを用いた場合と血管造影を用いた場合との比較
Intravascular Imaging–Guided or Angiography-Guided Complex PCI
J.M. Lee and Others
複雑な冠動脈病変に対して,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を血管内イメージングガイド下に施行した場合の術後の臨床転帰を,血管造影ガイド下に施行した場合と比較したデータは限られている.
韓国で行った前向き多施設共同非盲検試験で,複雑な冠動脈病変を有する患者を,血管内イメージングガイド PCI を行う群と血管造影ガイド PCI を行う群に,2:1 の割合で無作為に割り付けた.血管内イメージング群では,血管内超音波と光干渉断層法のいずれを用いるかの選択は術者が行った.主要エンドポイントは,心臓が原因の死亡,標的血管関連の心筋梗塞,臨床所見に基づく標的血管再血行再建の複合とした.安全性も評価した.
1,639 例が無作為化され,1,092 例が血管内イメージング群,547 例が血管造影群に割り付けられた.追跡期間中央値 2.1 年(四分位範囲 1.4~3.0)の時点で,主要エンドポイントのイベントは,血管内イメージング群では 76 例(累積発生率 7.7%),血管造影群では 60 例(累積発生率 12.3%)に発生していた(ハザード比 0.64,95%信頼区間 0.45~0.89,P=0.008).心臓が原因の死亡は,血管内イメージング群では 16 例(累積発生率 1.7%),血管造影群では 17 例(累積発生率 3.8%)に発生し,標的血管関連の心筋梗塞はそれぞれ 38 例(累積発生率 3.7%)と 30 例(累積発生率 5.6%),臨床所見に基づく標的血管再血行再建はそれぞれ 32 例(累積発生率 3.4%)と 25 例(累積発生率 5.5%)に発生した.手技に関連する安全性イベントの発生率に群間で明らかな差はなかった.
複雑な冠動脈病変を有する患者において,血管内イメージングガイド PCI を施行した場合に,血管造影ガイド PCI を施行した場合と比較して,心臓が原因の死亡,標的血管関連の心筋梗塞,臨床所見に基づく標的血管再血行再建の複合リスクが低くなった.(アボット バスキュラー社,ボストン・サイエンティフィック社から支援を受けた.RENOVATE-COMPLEX-PCI 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03381872)