重症市中肺炎に対するヒドロコルチゾン
Hydrocortisone in Severe Community-Acquired Pneumonia
P.-F. Dequin and Others
グルココルチコイドの抗炎症作用と免疫調節作用により,重症市中肺炎患者の死亡率が低下する可能性があるのかどうかは明らかでない.
第 3 相多施設共同二重盲検無作為化比較試験で,重症市中肺炎で集中治療室(ICU)に入室していた成人を,ヒドロコルチゾンを静脈内投与する群(最初の 4 日間は 200 mg/日で,臨床的改善度に応じて漸減し,計 8 日間または 14 日間投与)と,プラセボを投与する群に割り付けた.全例に,抗菌薬と支持療法を含む標準治療を行った.主要転帰は 28 日の時点での死亡率とした.
計画されていた 2 回目の中間解析後に試験は中止され,その時点で 800 例が無作為化されていた.795 例のデータを解析した.28 日目までに,死亡はヒドロコルチゾン群では 400 例中 25 例(6.2%,95%信頼区間 [CI] 3.9~8.6),プラセボ群では 395 例中 47 例(11.9%,95% CI 8.7~15.1)に発生していた(絶対差 -5.6 パーセントポイント,95% CI -9.6~-1.7,P=0.006).ベースライン時に人工呼吸管理を受けていなかった患者のうち,気管挿管が施行されたのは,ヒドロコルチゾン群では 222 例中 40 例(18.0%),プラセボ群では 220 例中 65 例(29.5%)であった(ハザード比 0.59,95% CI 0.40~0.86).ベースライン時に昇圧薬の投与を受けていなかった患者のうち,昇圧薬の投与が開始されたのは,ヒドロコルチゾン群では 359 例中 55 例(15.3%),プラセボ群では 344 例中 86 例(25.0%)であった(ハザード比 0.59,95% CI 0.43~0.82).院内感染,消化管出血の頻度は 2 群で同程度であったが,治療の最初の 1 週間におけるインスリンの 1 日量は,ヒドロコルチゾン群のほうが多かった.
ICU で治療中の重症市中肺炎患者のうち,ヒドロコルチゾンの投与を受けた患者は,プラセボの投与を受けた患者よりも 28 日目までの死亡リスクが低かった.(フランス保健省から研究助成を受けた.CAPE COD 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02517489)