マリとガンビアの 2~29 歳に対する髄膜炎菌 ACWYX 結合型ワクチン
Meningococcal ACWYX Conjugate Vaccine in 2-to-29-Year-Olds in Mali and Gambia
F.C. Haidara and Others
アフリカの「髄膜炎ベルト」における流行性髄膜炎菌感染症を予防するには,有効で安価な多価髄膜炎菌結合型ワクチンが必要である.血清型 A,C,W,Y,X を標的とする 5 価ワクチン,NmCV-5 の安全性と免疫原性に関するデータは限られている.
マリとガンビアで,健康な 2~29 歳を対象とした第 3 相非劣性試験を行った.参加者を,NmCV-5 を単回筋肉内接種する群と,4 価ワクチン MenACWY-D を接種する群に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.免疫原性を 28 日目に評価した.NmCV-5 の MenACWY-D に対する非劣性は,抗体応答(事前に規定した抗体価の変化と定義)を認めた参加者の割合の差(マージンは 96%信頼区間 [CI] の下限が -10 パーセントポイントを上回ることとした),または幾何平均抗体価(GMT)比(マージンは 98.98% CI の下限が 0.5 を上回ることとした)に基づいて評価した.NmCV-5 による血清型 X に対する抗体応答を,MenACWY-D による 4 つの血清型に対する抗体応答のなかでもっとも低いものと比較した.安全性も評価した.
1,800 例が NmCV-5 または MenACWY-D の接種を受けた.NmCV-5 群では,抗体応答割合の範囲は,血清型 A に対する 70.5%(95% CI 67.8~73.2)から,血清型 W に対する 98.5%(95% CI 97.6~99.2)であった.血清型 X に対する抗体応答割合は 97.2%(95% CI 96.0~98.1)であった.2 つのワクチンに共通する 4 つの血清型に対する抗体応答の全体的な群間差の範囲は,血清型 W に対する 1.2 パーセントポイント(96% CI -0.3~3.1)から,血清型 A に対する 20.5 パーセントポイント(96% CI 15.4~25.6)であった.共通する 4 つの血清型に対する全体的な GMT 比の範囲は,血清型 A に対する 1.7(98.98% CI 1.5~1.9)から,血清型 C に対する 2.8(98.98% CI 2.3~3.5)であった.NmCV-5 ワクチンの血清型 X の成分により,事前に規定した非劣性基準を満たす抗体応答と GMT が得られた.全身性の有害事象の発現率は 2 群で同程度であった(NmCV-5 群 11.1%,MenACWY-D 群 9.2%).
NmCV-5 ワクチンは,MenACWY-D ワクチンと共通する 4 つの血清型すべてに対して免疫応答を惹起し,MenACWY-D ワクチンにより惹起された免疫応答に対して非劣性であった.NmCV-5 は,血清型 X に対する免疫応答も惹起した.明らかな安全性の懸念は認められなかった.(英国外務・英連邦・開発省ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03964012)