血小板減少症患者における中心静脈カテーテル留置前の血小板輸血
Platelet Transfusion before CVC Placement in Patients with Thrombocytopenia
F.L.F. van Baarle and Others
輸血ガイドラインでは,中心静脈カテーテル(CVC)留置前の血小板数の閾値に関して,良質なエビデンスが不足しているため推奨内容が一致していない.超音波ガイダンスのルーチンの使用により,CVC 関連の出血合併症は減少している.
多施設共同無作為化比較非劣性試験で,血液内科病棟または集中治療室で治療を受けている重症血小板減少症(血小板数 10,000~50,000/mm3)患者を,超音波ガイド下 CVC 留置前に予防的に 1 単位の血小板輸血を行う群と,血小板輸血を行わない群に無作為に割り付けた.主要転帰はグレード 2~4 のカテーテル関連出血とし,重要な副次的転帰はグレード 3 または 4 のカテーテル関連出血とした.非劣性マージンは,相対リスクの 90%信頼区間の上限 3.5 とした.
338 例における CVC 留置 373 件を per-protocol 主要解析の対象とした.グレード 2~4 のカテーテル関連出血は,輸血群では 188 例中 9 例(4.8%),非輸血群では 185 例中 22 例(11.9%)に発生した(相対リスク 2.45,90%信頼区間 [CI] 1.27~4.70).グレード 3 または 4 のカテーテル関連出血は,輸血群では 188 例中 4 例(2.1%),非輸血群では 185 例中 9 例(4.9%)に発生した(相対リスク 2.43,95% CI 0.75~7.93).有害事象は 15 件認められ,うち 13 件(すべてグレード 3 のカテーテル関連出血 [輸血群 4 件,非輸血群 9 件])は重篤に分類された.CVC 留置前に予防的血小板輸血を行わなかった場合の正味の節約額は,カテーテル留置 1 件あたり 410 ドルであった.
血小板数 10,000~50,000/mm3 の患者において,CVC 留置前に予防的血小板輸血を行わなかった場合,予防的血小板輸血を行った場合と比較して,事前に規定した非劣性マージンを満たさず,CVC 関連出血イベントが多かった.(オランダ保健研究開発機構 [ZonMw] から研究助成を受けた.PACER 試験:Dutch Trial Register 番号 NL5534)