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May 25, 2023 Vol. 388 No. 21

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クローン病に対するウパダシチニブによる導入療法と維持療法
Upadacitinib Induction and Maintenance Therapy for Crohn's Disease

E.V. Loftus, Jr., and Others

背景

ウパダシチニブは経口選択的ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬であり,クローン病治療薬として現在臨床試験中である.

方 法

2 件の第 3 相導入療法試験(U-EXCEL 試験,U-EXCEED 試験)で,中等症~重症のクローン病患者を,ウパダシチニブ 45 mg を投与する群とプラセボを投与する群に 2:1 の割合で無作為に割り付け,1 日 1 回,12 週間投与した.ウパダシチニブ導入療法で臨床的奏効が得られた患者を,維持療法を検討する U-ENDURE 試験で,ウパダシチニブ 15 mg を投与する群,30 mg を投与する群,プラセボを投与する群に 1:1:1 の割合で無作為に割り付け,1 日 1 回,52 週間投与した.導入療法(12 週目)と維持療法(52 週目)の主要エンドポイントは,臨床的寛解(クローン病活動指数 [CDAI;0~600 点で,数値が高いほど疾患活動性が重度であることを示す] が 150 点未満と定義)と,内視鏡的奏効(クローン病簡易内視鏡スコア [SES-CD;0~56 点で,数値が高いほど重症であることを示す] が導入療法試験のベースラインから 50%を超えて減少する [ベースライン時の SES-CD が 4 点の患者ではベースラインから 2 点以上減少する] ことと定義)とした.

結 果

U-EXCEL 試験では 526 例,U-EXCEED 試験では 495 例,U-ENDURE 試験では 502 例が無作為化された.ウパダシチニブ 45 mg 群では,プラセボ群と比較して,臨床的寛解割合(U-EXCEL 試験で 49.5% 対 29.1%,U-EXCEED 試験で 38.9% 対 21.1%)と,内視鏡的奏効割合(U-EXCEL 試験で 45.5% 対 13.1%,U-EXCEED 試験で 34.6% 対 3.5%)が有意に高かった(すべての比較で P<0.001).U-ENDURE 試験の 52 週の時点で,臨床的寛解割合は,ウパダシチニブ 15 mg 群(37.3%)と 30 mg 群(47.6%)がプラセボ群(15.1%)よりも高く,内視鏡的奏効割合は,ウパダシチニブ 15 mg 群(27.6%)と 30 mg 群(40.1%)がプラセボ群(7.3%)よりも高かった(すべての比較で P<0.001).帯状疱疹感染症の頻度は,ウパダシチニブ 45 mg 群と 30 mg 群がいずれのプラセボ群よりも高く,肝障害と好中球減少症の頻度は,ウパダシチニブ 30 mg 群がほかの維持療法群よりも高かった.消化管穿孔は,ウパダシチニブ 45 mg を投与された 4 例,30 mg を投与された 1 例,15 mg を投与された 1 例に発生した.

結 論

中等症~重症のクローン病患者において,ウパダシチニブによる導入療法と維持療法は,プラセボよりも優れていた.(アッヴィ社から研究助成を受けた.U-EXCEL 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03345849,U-EXCEED 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03345836,U-ENDURE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03345823)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 1966 - 80. )