小児の前腕骨遠位端骨折疑いに対する超音波検査と X 線検査との比較
Ultrasonography or Radiography for Suspected Pediatric Distal Forearm Fractures
P.J. Snelling and Others
小児・思春期児の前腕骨骨折の初回画像診断に超音波検査を用いた場合,その後の患肢の身体機能に関して,X 線検査を用いた場合と比較して非劣性であるかどうかに関するデータは限られている.
オーストラリアの非盲検多施設共同非劣性無作為化試験で,前腕骨遠位部の単独外傷で救急部を受診し,臨床的に明らかな変形を認めず,画像検査によるさらなる評価の適応となった 5~15 歳の参加者を登録した.参加者を,最初にポイントオブケア超音波検査を行う群と,X 線検査を行う群に無作為に割り付け,その後 8 週間追跡した.主要転帰は 4 週の時点での患肢の身体機能とし,妥当性が確認されている小児上肢簡易版患者報告アウトカム測定情報システム(PROMIS)スコア(8~40 で,数値が高いほど機能が良好であることを示す)を用いて評価した.非劣性マージンは 5 ポイントとした.
270 例が登録され,事前に規定した 4 週(±3 日)の時点で 262 例(97%)の転帰が得られた.超音波検査群の 4 週の時点での PROMIS スコアは,X 線検査群に対して非劣性であった(平均はそれぞれ 36.4 ポイントと 36.3 ポイント,差の平均 0.1 ポイント,95%信頼区間 [CI] -1.3~1.4).intention-to-treat 解析(対象はいずれかの時点で主要転帰データが記録された 266 例)でも同様の結果であった(差の平均 0.1 ポイント,95% CI -1.3~1.4).臨床的に重要な骨折の見逃しはなく,有害事象の発現率に群間差はなかった.
前腕骨遠位部の外傷を負った小児・思春期児において,初回画像診断の方法として超音波検査を用いた場合,4 週の時点での患肢の身体機能の転帰に関して,X 線検査を用いた場合と比較して非劣性であった.(救急医療財団ほかから研究助成を受けた.BUCKLED 試験:Australian New Zealand Clinical Trials Registry 番号 ACTRN12620000637943)