心停止ドナーからの心臓移植の転帰
Transplantation Outcomes with Donor Hearts after Circulatory Death
J.N. Schroder and Others
心停止ドナー心の移植の有効性と安全性を,脳死ドナー心の移植と比較したデータは限られている.
無作為化非劣性試験を行い,心臓移植の成人候補者を,心停止ドナー心,または脳死ドナー心が先に入手可能な場合は脳死ドナー心を移植する群(心停止群)と,ドナーの脳死後従来の冷保存法で保存されていた脳死ドナー心のみを移植する群(脳死群)に 3:1 の割合で割り付けた.主要エンドポイントは移植後 6 ヵ月の時点でのリスク補正後の生存とし,実際に受けた治療に基づく(as-treated)心停止群と脳死群とで比較した.主要安全性エンドポイントは,移植後 30 日の時点での移植心に関連する重篤な有害事象とした.
180 例が移植を受けた.90 例(心停止群)が心停止ドナー心の移植,90 例(群の割付けにかかわらず)が脳死ドナー心の移植を受けた.as-treated 主要解析の対象は 166 例であった(心停止ドナー心のレシピエント 80 例,脳死ドナー心のレシピエント 86 例).as-treated 集団におけるリスク補正後の 6 ヵ月生存割合は,心停止ドナー心のレシピエントでは 94%(95%信頼区間 [CI] 88~99)であったのに対し,脳死ドナー心のレシピエントでは 90%(95% CI 84~97)であった(最小二乗平均差 -3 パーセントポイント,90% CI -10~3,非劣性の P<0.001 [マージン 20 パーセントポイント]).移植後 30 日の時点での移植心に関連する重篤な有害事象については,1 例あたりの平均件数に群間で大きな差はなかった.
この試験では,ドナーの心停止後に体外非虚血性灌流で蘇生させ,評価した心臓の移植は,移植後 6 ヵ月の時点でのリスク補正後の生存に関して,ドナーの脳死後冷保存法で保存されていた心臓を移植する標準治療に対して非劣性であった.(トランスメディクス社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03831048)