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June 8, 2023 Vol. 388 No. 23

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妊娠早期に診断された妊娠糖尿病の治療
Treatment of Gestational Diabetes Mellitus Diagnosed Early in Pregnancy

D. Simmons and Others

背景

妊娠糖尿病の治療を妊娠 20 週より前に行うことが,母子の健康を改善するかどうかは明らかでない.

方 法

高血糖の危険因子を有し,妊娠糖尿病(世界保健機関 [WHO] 診断基準 2013 に基づく)と診断された妊娠 4 週~19 週 6 日の女性を,妊娠糖尿病の治療をただちに行う群と,妊娠 24~28 週時に再度実施する経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の結果に応じて治療を行うかどうかを決定する群(対照群)に,1:1 の割合で無作為に割り付けた.この試験の主要転帰は,新生児の有害転帰(在胎 37 週未満での出生,分娩時外傷,出生体重 4,500 g 以上,呼吸窮迫,光線療法,死産または新生児死亡,肩甲難産)の複合,妊娠関連高血圧(妊娠高血圧腎症,子癎,妊娠高血圧症),新生児除脂肪体重の 3 つとした.

結 果

802 例が無作為化され,406 例が即時治療群,396 例が対照群に割り付けられた.793 例(98.9%)の追跡データが得られた.初回 OGTT は,平均(±SD)で妊娠 15.6±2.5 週の時点で行われた.新生児の有害転帰イベントは,即時治療群では 378 例中 94 例(24.9%)に発生し,対照群では 370 例中 113 例(30.5%)に発生した(補正リスク差 -5.6 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -10.1~-1.2).妊娠関連高血圧は,即時治療群では 378 例中 40 例(10.6%)に発生し,対照群では 372 例中 37 例(9.9%)に発生した(補正リスク差 0.7 パーセントポイント,95% CI -1.6~2.9).新生児除脂肪体重の平均は,即時治療群では 2.86 kg,対照群では 2.91 kg であった(補正後の平均差 -0.04 kg,95% CI -0.09~0.02).スクリーニング関連,治療関連の重篤な有害事象に群間で差は認められなかった.

結 論

妊娠糖尿病の治療を妊娠 20 週より前に行った場合,待期した場合と比較して新生児の有害転帰の複合発生率は若干低くなったが,妊娠関連高血圧と新生児除脂肪体重に重要な差は認められなかった.(オーストラリア国立保健医療研究評議会ほかから研究助成を受けた.TOBOGM 試験:Australian New Zealand Clinical Trials Registry 番号 ACTRN12616000924459)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 2132 - 44. )