自己炎症性症候群における STAT4 バリアントとルキソリチニブに対する反応
Variant STAT4 and Response to Ruxolitinib in an Autoinflammatory Syndrome
H. Baghdassarian and Others
障害をもたらす汎発性硬化性斑状強皮症(DPM)は,まれな全身性炎症性疾患であり,創治癒不良,線維化,血球減少,低ガンマグロブリン血症,有棘細胞癌を特徴とする.原因は不明であり,死亡率は高い.
常染色体顕性(優性)遺伝パターンの DPM を有する,血縁関係のない 3 家族の患者 4 例を評価した.ゲノムシーケンシングにより,シグナル伝達性転写因子 4(STAT4)をコードする遺伝子の特定領域に,3 つのヘテロ接合バリアントが独立に同定された.初代皮膚線維芽細胞・細胞株アッセイを用いて,遺伝的欠損の機能特性を明らかにした.また,末梢血単核細胞の単一細胞 RNA シーケンシングを用いて遺伝子発現を解析し,DPM 下で影響を受ける可能性があり,治療に反応する可能性のある炎症経路を同定した.
ゲノムシーケンシングにより,STAT4 に 3 つの新規ヘテロ接合性ミスセンス機能獲得型バリアントが明らかになった.in vitro で,初代皮膚線維芽細胞におけるインターロイキン-6 の分泌亢進が認められ,創治癒の障害,コラーゲン基質の収縮,基質の分泌を伴っていた.ルキソリチニブを用いたヤヌスキナーゼ(JAK)–STAT シグナル伝達の阻害により,in vitro では炎症亢進性の線維芽細胞表現型が改善し,患者では炎症マーカーと臨床症状が消失し,有害作用は認められなかった.単一細胞 RNA シーケンシングにより,免疫調節不全表現型に一致する発現パターンが認められ,JAK の阻害によって適切に改変された.
今回検討した 3 家族では,STAT4 の機能獲得型バリアントが DPM を引き起こした.JAK 阻害薬ルキソリチニブにより,in vitro および罹患した家族において,皮膚と炎症の表現型が減弱した.(米国アレルギー・喘息・免疫学会財団ほかから研究助成を受けた.)