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June 22, 2023 Vol. 388 No. 25

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二腔リードレスペースメーカー
A Dual-Chamber Leadless Pacemaker

R.E. Knops and Others

背景

単腔心室リードレスペースメーカーは,心房ペーシングや,持続的な房室同期をサポートしない.右心房と右心室にデバイスを 1 つずつ経皮的に植え込む二腔リードレスペースメーカーシステムは,リードレスペースメーカー療法が適応となる疾患の範囲を広げ,治療選択肢を増やすと考えられる.

方 法

二腔リードレスペースメーカーシステムの安全性と成績を評価するために,前向き多施設共同単群試験を行った.二腔ペーシングの従来の適応がある患者を参加に適格とした.主要安全性エンドポイントは,90 日の時点で合併症(デバイスまたは手技に関連する重篤な有害事象)がないこととした.第一の主要成績エンドポイントは,3 ヵ月の時点での,適切な心房捕捉の閾値とセンシング振幅の組合せとした.第二の主要成績エンドポイントは,3 ヵ月の時点で,座位での房室同期率が 70%以上であることとした.

結 果

登録された 300 例のうち,ペーシングの第一の適応症は,190 例(63.3%)が洞結節機能不全,100 例(33.3%)が房室ブロックであった.植込みは 295 例(98.3%)で成功した(機能している 2 つのリードレスペースメーカーが植え込まれ,植え込まれたデバイスの通信が確立した).デバイスまたは手技に関連する重篤な有害事象は,29 例に 35 件発現した.主要安全性エンドポイントは 271 例(90.3%,95%信頼区間 [CI] 87.0~93.7)で達成され,成績目標である 78%を超えた(P<0.001).第一の主要成績エンドポイントは,患者の 90.2%で達成され(95% CI 86.8~93.6),成績目標である 82.5%を超えた(P<0.001).心房捕捉の平均(±SD)閾値は 0.82±0.70 V であり,P 波の平均振幅は 3.58±1.88 mV であった.P 波の振幅が 1.0 mV 未満であった 21 例(7%)で,不適切なセンシングのためにデバイスの再置換を必要とした患者はいなかった.房室同期率 70%以上は患者の 97.3%で達成され(95% CI 95.4~99.3),成績目標である 83%を超えた(P<0.001).

結 論

二腔リードレスペースメーカーシステムは,主要安全性エンドポイントを満たし,植込み後 3 ヵ月間,心房ペーシングと信頼できる房室同期を行った.(アボットメディカル社から研究助成を受けた.Aveir DR i2i 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05252702)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 2360 - 70. )