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January 5, 2023 Vol. 388 No. 1

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KRAS G12C 変異陽性大腸癌に対するアダグラシブ単独とアダグラシブ+セツキシマブとの比較
Adagrasib with or without Cetuximab in Colorectal Cancer with Mutated KRAS G12C

R. Yaeger and Others

背景

アダグラシブ(adagrasib)は,KRAS G12C 変異蛋白の経口小分子阻害薬であり,大腸癌をはじめとする複数の癌腫に対して,前治療歴のある患者で臨床活性を示している.前臨床試験から,KRAS G12C 阻害薬と上皮成長因子受容体抗体の併用が,有効な臨床戦略となる可能性があることが示唆されている.

方 法

第 1・2 相非盲検非無作為化臨床試験で,複数の前治療歴のある KRAS G12C 変異陽性転移性大腸癌患者を,アダグラシブ単剤療法(600 mg を 1 日 2 回経口投与)を行う群と,アダグラシブ(単剤療法と同量)に加えて,セツキシマブの週 1 回(初回負荷用量 400 mg/m2 体表面積,その後は 250 mg/m2 を投与)または 2 週ごと(500 mg/m2)の静脈内投与を行う群に割り付けた.主要エンドポイントは客観的奏効(完全奏効または部分奏効)と安全性とした.

結 果

2022 年 6 月 16 日の時点で,44 例がアダグラシブの投与を受け,32 例がアダグラシブとセツキシマブの併用療法を受けていた.追跡期間の中央値はそれぞれ 20.1 ヵ月と 17.5 ヵ月であった.単剤療法群(評価しえたのは 43 例)では,患者の 19%(95%信頼区間 [CI] 8~33)で奏効が報告された.奏効期間の中央値は 4.3 ヵ月(95% CI 2.3~8.3),無増悪生存期間の中央値は 5.6 ヵ月(95% CI 4.1~8.3)であった.併用療法群(評価しえたのは 28 例)では,奏効は 46%(95% CI 28~66)に認められた.奏効期間の中央値は 7.6 ヵ月(95% CI 5.7~推定不能),無増悪生存期間の中央値は 6.9 ヵ月(95% CI 5.4~8.1)であった.グレード 3 または 4 の治療関連有害事象の発現率は,単剤療法群で 34%,併用療法群で 16%であった.グレード 5 の有害事象は観察されなかった.

結 論

KRAS G12C 変異陽性転移性大腸癌を有する,複数の前治療歴のある患者において,アダグラシブは,経口単剤療法としてもセツキシマブとの併用療法でも,抗腫瘍活性を示した.併用療法群では奏効期間の中央値が 6 ヵ月を超えた.両群とも,可逆性の有害事象の頻度が高かった.(ミラティ セラピューティクス社から研究助成を受けた.KRYSTAL-1 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03785249)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 44 - 54. )