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February 16, 2023 Vol. 388 No. 7

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高齢者に対する RS ウイルス融合前 F 蛋白ワクチン
Respiratory Syncytial Virus Prefusion F Protein Vaccine in Older Adults

A. Papi and Others

背景

RS ウイルス(RSV)は,高齢者における急性呼吸器感染症,下気道疾患,臨床的合併症,死亡の重要な原因である.現在認可されている RSV 感染予防ワクチンはない.

方 法

現在進行中の国際共同プラセボ対照第 3 相試験で,60 歳以上の成人を,RSV 流行期前に,AS01E をアジュバントとした RSV 融合前 F 蛋白ベースのワクチン候補(RSVPreF3 OA)を単回接種する群と,プラセボを接種する群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要目的は,1 回の RSV 流行期間中に,逆転写酵素 PCR(RT-PCR)検査で確認された RSV 関連下気道疾患に対する,RSVPreF3 OA ワクチン単回接種の有効性を示すことであった.主要目的の達成基準は,有効率の推定値の信頼区間の下限が 20%を上回ることとした.重症 RSV 関連下気道疾患と RSV 関連急性呼吸器感染症に対する有効性を評価し,RSV のサブタイプ(A 型,B 型)別の解析も行った.安全性も評価した.

結 果

24,966 例が,RSVPreF3 OA ワクチン(12,467 例)またはプラセボ(12,499 例)の単回接種を受けた.中央値で 6.7 ヵ月の追跡期間中,RT-PCR 検査で確認された RSV 関連下気道疾患に対するワクチン有効率は 82.6%(96.95%信頼区間 [CI] 57.9~94.1)であり,症例数は,ワクチン群 7 例(1,000 人年あたり 1.0 例),プラセボ群 40 例(1,000 人年あたり 5.8 例)であった.重症 RSV 関連下気道疾患(臨床徴候に基づき評価,または試験担当医師が評価)に対するワクチン有効率は 94.1%(95% CI 62.4~99.9),RSV 関連急性呼吸器感染症に対するワクチン有効率は 71.7%(95% CI 56.2~82.3)であった.RSV A 型,B 型に対するワクチンの有効率は同程度であった(RSV 関連下気道疾患:それぞれ 84.6%と 80.9%,RSV 関連急性呼吸器感染症:それぞれ 71.9%と 70.6%).大部分の年齢群と,併存疾患を有する参加者においてワクチンの高い有効性が認められた.RSVPreF3 OA ワクチンは,プラセボよりも高い反応原性(副反応)を伴ったが,安全性データとして収集した有害事象は,大部分が一過性で,軽度~中等度のものであった.重篤な有害事象の発現率と,免疫介在性の可能性がある疾患の発生率は,2 群で同程度であった.

結 論

60 歳以上の成人に対する RSVPreF3 OA ワクチンの単回接種は,RSV のサブタイプ,および基礎(併存)疾患の有無にかかわらず,許容可能な安全性プロファイルを示し,RSV 関連急性呼吸器感染症,RSV 関連下気道疾患,重症 RSV 関連下気道疾患を予防した.(グラクソ・スミスクライン・バイオロジカルズ社から研究助成を受けた.AReSVi-006 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04886596)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 595 - 608. )