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February 16, 2023 Vol. 388 No. 7

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高齢者における Ad26.RSV.preF–RSV preF 蛋白ワクチンの有効性と安全性
Efficacy and Safety of an Ad26.RSV.preF–RSV preF Protein Vaccine in Older Adults

A.R. Falsey and Others

背景

RS ウイルス(RSV)は,高齢者に重篤な下気道疾患を引き起こすことがあるが,現在認可されている RSV ワクチンはない.融合前 F(preF)蛋白をコードするアデノウイルス血清型 26 RSV ベクター(Ad26.RSV.preF)と RSV preF 蛋白を組み合わせたワクチンに関する最近の臨床試験で,液性免疫原性と細胞性免疫原性が誘導されることが示されている.

方 法

無作為化二重盲検プラセボ対照第 2b 相概念実証(proof-of-concept)試験を行い,Ad26.RSV.preF–RSV preF 蛋白ワクチンの有効性,免疫原性,安全性を評価した.65 歳以上の成人を,ワクチンを接種する群とプラセボを接種する群に,1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,次の 3 つの症例定義のいずれかを満たす RSV 介在性下気道疾患の初回発生とした:下気道感染症の症状が 3 つ以上(定義 1),下気道感染症の症状が 2 つ以上(定義 2),下気道感染症の症状が 2 つ以上,または下気道感染症の症状が 1 つ以上かつ全身症状が 1 つ以上(定義 3).

結 果

全体で 5,782 例が組み入れられ,接種を受けた.症例定義 1 を満たす RSV 介在性下気道疾患は,ワクチン接種者の 6 例とプラセボ接種者の 30 例に発生し,症例定義 2 はそれぞれ 10 例と 40 例,症例定義 3 は 13 例と 43 例に発生した.ワクチン有効率は,症例定義 1 に対して 80.0%(94.2%信頼区間 [CI] 52.2~92.9),症例定義 2 に対して 75.0%(94.2% CI 50.1~88.5),症例定義 3 に対して69.8%(94.2% CI 43.7~84.7)であった.ワクチン接種後,RSV A2 中和抗体価は,ベースラインから 15 日目までに 12.1 倍に上昇し,ほかの免疫原性指標と一致する結果であった.安全性データとして収集した局所および全身の有害事象が発現した参加者の割合は,ワクチン群のほうがプラセボ群よりも高かったが(局所:37.9% 対 8.4%,全身:41.4% 対 16.4%),有害事象の大部分は軽度~中等度であった.重篤な有害事象の発現頻度は,ワクチン群とプラセボ群とで同程度であった(それぞれ 4.6%と 4.7%).

結 論

65 歳以上の成人において,Ad26.RSV.preF–RSV preF 蛋白ワクチンは免疫原性を示し,RSV 介在性下気道疾患を予防した.(ヤンセン ワクチンズ&プリベンション社から研究助成を受けた.CYPRESS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03982199)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 609 - 20. )