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February 23, 2023 Vol. 388 No. 8

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パーキンソン病に対する淡蒼球の集束超音波アブレーションの試験
Trial of Globus Pallidus Focused Ultrasound Ablation in Parkinson’s Disease

V. Krishna and Others

背景

片側淡蒼球内節の集束超音波アブレーションは,非盲検試験ではパーキンソン病の運動症状を抑制している.

方 法

ジスキネジアまたは運動症状の変動がみられ,非服薬下で運動障害が出現するパーキンソン病患者を,運動症状優位側の対側に集束超音波アブレーションを行う群と,偽処置を行う群に 3:1 の割合で無作為に割り付けた.主要転帰は 3 ヵ月の時点での反応とし,治療した側の非服薬下での「運動障害疾患学会・パーキンソン病統一スケールのパート III(MDS-UPDRS III)」のスコア,または服薬下での「ジスキネジア統一スケール(UDysRS)」のスコアの,ベースラインから 3 ポイント以上の低下と定義した.副次的転帰は,MDS-UPDRS のさまざまなパートのスコアの,ベースラインから 3 ヵ月の時点までの変化量などとした.3 ヵ月間の盲検期のあとは,非盲検期を 12 ヵ月の時点まで継続した.

結 果

94 例が組み入れられ,69 例が超音波アブレーション(実治療)群,25 例が偽処置(対照)群に割り付けられた.主要転帰の評価はそれぞれ 65 例と 22 例が完了した.反応は,実治療群では 45 例(69%)に認められたのに対し,対照群では 7 例(32%)であった(差 37 パーセントポイント,95%信頼区間 15~60,P=0.003).実治療群で反応が認められた患者のうち,19 例は MDS-UPDRS III の基準のみを満たし,8 例は UDysRS の基準のみ,18 例は両方の基準を満たした.副次的転帰の結果は,主要転帰の結果とおおむね同様の方向性を示した.3 ヵ月の時点で反応が認められ,12 ヵ月の時点で評価された実治療群の 39 例のうち,30 例で反応が持続していた.実治療群における淡蒼球破壊術に関連する有害事象として,構音障害,歩行障害,味覚障害,視力障害,顔面筋力低下などが認められた.

結 論

片側淡蒼球の超音波アブレーションにより,偽処置と比較して,3 ヵ月の期間中,運動機能の改善またはジスキネジアの減少を認めた患者の割合が高くなったが,有害事象を伴った.パーキンソン病患者に対するこの技術の有効性と安全性を明らかにするためには,より長期かつ大規模な試験が必要である.(インサイテック社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03319485)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 683 - 93. )