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February 23, 2023 Vol. 388 No. 8

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血友病 A に対するバロクトコジーン ロクサパルボベク療法の 2 年間の転帰
Two-Year Outcomes of Valoctocogene Roxaparvovec Therapy for Hemophilia A

J. Mahlangu and Others

背景

バロクトコジーン ロクサパルボベク(valoctocogene roxaparvovec)は,重症血友病 A 患者の出血を予防するために,B ドメイン欠損第 VIII 因子をコードする配列を,アデノ随伴ウイルスベクターを用いて送達する.重症血友病 A の男性にバロクトコジーン ロクサパルボベク療法を行い,52 週間後に有効性と安全性を評価した第 3 相試験の知見がすでに報告されている.

方 法

非盲検単群多施設共同第 3 相試験を行い,第 VIII 因子の定期補充療法を受けていた重症血友病 A の男性 134 例に,6×1013 ベクターゲノム/kg 体重のバロクトコジーン ロクサパルボベクを単回注入した.主要エンドポイントは,注入後 104 週の時点での,治療を要した出血イベントの年間発生率のベースラインからの変化量とした.バロクトコジーン ロクサパルボベクの薬物動態をモデル化し,出血リスクを,導入遺伝子由来の第 VIII 因子活性と関連付けて推定した.

結 果

104 週の時点で,132 例が試験を継続していた.このうち 112 例には,ベースラインの時点で前向きに収集されているデータがあった.治療を要した出血の年間発生率の平均は,ベースラインから 84.5%減少していた(P<0.001).76 週以降,導入遺伝子由来の第 VIII 因子活性の推移は,一次速度式にのっとった消失動態を示した.導入遺伝子由来の第 VIII 因子産生系の通常の半減期は,モデルで推定したところ,123 週間(95%信頼区間 84~232)であった.関節出血のリスクを試験参加者で推定したところ,導入遺伝子由来の第 VIII 因子の発色合成基質法で測定した濃度が 5 IU/dL の場合に,関節出血エピソードは年間 1.0 件と予測された.注入後 2 年の時点で,新たな安全性シグナルは出現しておらず,新たな重篤な治療関連有害事象も発現していなかった.

結 論

本試験のデータは,遺伝子導入後 2 年以上経過した時点での第 VIII 因子活性と出血減少の持続,そしてバロクトコジーン ロクサパルボベクの安全性プロファイルを示している.関節出血のリスクのモデルは,導入遺伝子由来の第 VIII 因子活性と出血エピソードとの関係が,軽症~中等症の血友病 A 患者の疫学データを用いて報告されたものと同様であることを示唆している.(バイオマリン ファーマシューティカル社から研究助成を受けた.GENEr8-1 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03370913)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 694 - 705. )