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February 23, 2023 Vol. 388 No. 8

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血友病 B に対するエトラナコジーン デザパルボベクによる遺伝子治療
Gene Therapy with Etranacogene Dezaparvovec for Hemophilia B

S.W. Pipe and Others

背景

中等症~重症の血友病 B では,出血を予防するために第 IX 因子を生涯にわたって継続的に補充する.血友病 B の遺伝子治療は,第 IX 因子活性の維持を確立することを目的とするものであり,それによって,負担の大きい第 IX 因子の補充を行うことなく出血を予防することができる.

方 法

非盲検第 3 相試験で,第 IX 因子の定期補充療法の導入期間(6 ヵ月以上)後に,第 IX 因子 Padua 変異を発現するアデノ随伴ウイルス 5(AAV5)ベクター(エトラナコジーン デザパルボベク [etranacogene dezaparvovec],2×1013 ゲノムコピー/kg 体重)を,血友病 B(第 IX 因子活性が正常値の 2%以下)の男性 54 例に,AAV5 中和抗体がすでに存在しているかにかかわらず 1 回注入した.主要エンドポイントは年間出血率とし,非劣性解析にて,エトラナコジーン デザパルボベク投与後 7~18 ヵ月の年間出血率を,導入期間の年間出血率と比較評価した.エトラナコジーン デザパルボベクの非劣性は,年間出血率比の両側 95% Wald 信頼区間の上限が非劣性マージンの 1.8 未満であることと定義した.優越性,追加の有効性エンドポイント,安全性も評価した.

結 果

年間出血率は,導入期間の 4.19(95%信頼区間 [CI] 3.22~5.45)から,投与後 7~18 ヵ月には 1.51(95% CI 0.81~2.82)に低下し,率比は 0.36(95% Wald CI 0.20~0.64,P<0.001)で,エトラナコジーン デザパルボベクの第 IX 因子定期補充療法に対する非劣性と優越性が示された.第 IX 因子活性は,投与後 6 ヵ月の時点でベースラインから最小二乗平均で 36.2 パーセントポイント(95% CI 31.4~41.0)上昇し,18 ヵ月の時点では 34.3 パーセントポイント(95% CI 29.5~39.1)上昇し,第 IX 因子濃縮製剤の使用量は,投与後の期間中,1 例あたり年間で平均 248,825 IU 減少した(3 つの比較すべてについて P<0.001).利益と安全性は,投与前の AAV5 中和抗体価が 700 未満であった参加者に認められた.重篤な治療関連有害事象は発現しなかった.

結 論

エトラナコジーン デザパルボベクによる遺伝子治療は,年間出血率に関して第 IX 因子の定期補充療法よりも優れており,安全性プロファイルは良好であった.(ユニキュア社,CSL ベーリング社から研究助成を受けた.HOPE-B 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03569891)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 706 - 18. )