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February 23, 2023 Vol. 388 No. 8

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転移性前立腺癌に対するルカパリブと医師が選択した薬剤との比較
Rucaparib or Physician's Choice in Metastatic Prostate Cancer

K. Fizazi and Others

背景

ポリ(アデノシン二リン酸 [ADP] リボース) ポリメラーゼ(PARP)阻害薬ルカパリブ(rucaparib)は,有害な BRCA 変異に関連する転移性去勢抵抗性前立腺癌患者を対象とした第 2 相試験で,高い活性を示した.この第 2 相試験の知見を確認し,展開させるためのデータが必要である.

方 法

無作為化比較第 3 相試験に,BRCA1BRCA2ATM のいずれかの変異を有し,第二世代アンドロゲン受容体経路遮断薬(ARPI)による治療後に病勢進行が認められた,転移性去勢抵抗性前立腺癌患者を組み入れた.患者を,ルカパリブ(600 mg を 1 日 2 回)を経口投与する群と,医師が選択した対照薬(ドセタキセルまたは第二世代 ARPI [アビラテロン酢酸エステルまたはエンザルタミド])を投与する群に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要転帰は,独立判定による,画像に基づく無増悪生存期間の中央値とした.

結 果

プレスクリーニングまたはスクリーニングを受けた 4,855 例のうち,270 例がルカパリブ群,135 例が対照薬群に割り付けられた(intention-to-treat 集団).ルカパリブ群の 201 例と対照薬群の 101 例が BRCA 変異を有していた.62 ヵ月の時点で,画像に基づく無増悪生存期間は,ルカパリブ群のほうが対照薬群よりも有意に長いことが,BRCA サブグループ(中央値はそれぞれ 11.2 ヵ月と 6.4 ヵ月,ハザード比 0.50,95%信頼区間 [CI] 0.36~0.69)と,intention-totreat 集団(中央値はそれぞれ 10.2 ヵ月と 6.4 ヵ月,ハザード比 0.61,95% CI 0.47~0.80)の両方で認められた(両比較について P<0.001).ATM サブグループで行った探索的解析では,画像に基づく無増悪生存期間の中央値はルカパリブ群 8.1 ヵ月,対照薬群 6.8 ヵ月であった(ハザード比 0.95,95% CI 0.59~1.52).ルカパリブの有害事象でとくに頻度が高かったのは,倦怠感と悪心であった.

結 論

BRCA 変異陽性の転移性去勢抵抗性前立腺癌患者において,画像に基づく無増悪生存期間は,ルカパリブのほうが対照薬よりも有意に長かった.(クロビス・オンコロジー社から研究助成を受けた.TRITON3 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02975934)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 719 - 32. )