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March 2, 2023 Vol. 388 No. 9

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有給病気休暇の義務付け実施後の癌スクリーニング
Cancer Screening after the Adoption of Paid-Sick-Leave Mandates

K. Callison and Others

背景

米国では,適格な労働者に対する福利厚生の提供を雇用主に義務付ける命令により,2022 年末の時点で約 2,000 万人の労働者が有給病気休暇を取得した.これには,予防サービスを利用するための有給休暇が含まれる.有給病気休暇がないことが予防医療へのアクセスを妨げているのかもしれないが,それと癌スクリーニングとの関連について意味のある結論を出すには,現在のエビデンスは不十分である.

方 法

有給病気休暇の義務付けと,乳癌および大腸癌のスクリーニングとの関連を検討するために,有給病気休暇の義務付けが適用された大都市統計圏(MSA)に居住する労働者と,適用されていない MSA に居住する労働者とで,12 ヵ月,24 ヵ月の時点での大腸癌スクリーニングとマンモグラフィの受診率の変化を比較した.比較は,2012~19 年の,民間企業従業員約 200 万人の診療報酬請求の管理データを用いて行った.

結 果

有給病気休暇の義務付けがあったのは,今回のサンプルのうち 61 の MSA であった.義務付け実施前のスクリーニング受診率は,適用 MSA と非適用 MSA とで同程度であった.補正後の解析で,癌スクリーニング受診率は,適用 MSA に居住する労働者のほうが非適用 MSA に居住する労働者よりも高く,12 ヵ月の時点での大腸癌スクリーニングは 1.31 パーセントポイント(95%信頼区間 [CI] 0.28~2.34)高く,24 ヵ月の時点での大腸癌スクリーニングは 1.56 パーセントポイント(95% CI 0.33~2.79)高く,12 ヵ月の時点でのマンモグラフィは 1.22 パーセントポイント(95% CI -0.20~2.64)高く,24 ヵ月の時点でのマンモグラフィは 2.07 パーセントポイント(95% CI 0.15~3.99)高かった.

結 論

米国の民間企業労働者のサンプルにおいて,癌スクリーニング受診率は,有給病気休暇の義務付けが適用された MSA に居住する労働者のほうが,適用されていない MSA に居住する労働者よりも高かった.今回の結果から,有給病気休暇がないことが癌スクリーニングの障壁になっていると示唆される.(米国国立がん研究所から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 824 - 32. )