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March 2, 2023 Vol. 388 No. 9

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進行悪性黒色腫に対するペムブロリズマブによる術前・術後補助療法と術後補助療法単独との比較
Neoadjuvant–Adjuvant or Adjuvant-Only Pembrolizumab in Advanced Melanoma

S.P. Patel and Others

背景

切除可能な III 期または IV 期の悪性黒色腫患者に対して,ペムブロリズマブを手術前(術前補助療法)と手術後(術後補助療法)の両方に投与した場合に,術後補助療法としてのみペムブロリズマブを投与した場合と比較して,無イベント生存期間が延長するかどうかは明らかにされていない.

方 法

第 2 相試験で,臨床的に検出可能で,測定可能な大きさの,IIIB~IVC 期の外科的切除に適した悪性黒色腫を有する患者を,術前補助療法としてペムブロリズマブを 3 回投与し,手術を施行し,術後補助療法としてペムブロリズマブを 15 回投与する群(術前・術後補助療法群)と,手術を施行し,術後にペムブロリズマブ(200 mg の静脈内投与を 3 週ごと,計 18 回)を約 1 年間,または疾患の再発もしくは忍容できない毒性が発生するまで投与する群(術後補助療法単独群)に無作為に割り付けた. 主要エンドポイントは,intention-to-treat 集団における無イベント生存期間とした.イベントは,手術を不可能にする病勢進行または毒性,肉眼的病変のすべての切除が不可能,術後 84 日以内の術後補助療法開始を不可能にする病勢進行・手術の合併症・治療毒性,悪性黒色腫の術後の再発,全死因死亡と定義した.安全性も評価した.

結 果

追跡期間中央値 14.7 ヵ月の時点で,術前・術後補助療法群(154 例)の無イベント生存期間は,術後補助療法単独群(159 例)よりも有意に長かった(log-rank 検定で P=0.004).ランドマーク解析では,2 年の時点での無イベント生存率は,術前・術後補助療法群で 72%(95%信頼区間 [CI] 64~80),術後補助療法単独群で 49%(95% CI 41~59)であった.治療中にグレード 3 以上の治療関連有害事象が発現した患者の割合は,術前・術後補助療法群で 12%,術後補助療法単独群で 14%であった.

結 論

切除可能な III 期または IV 期の悪性黒色腫患者のうち,ペムブロリズマブの投与を術前と術後の両方受けた患者では,ペムブロリズマブによる術後補助療法のみを受けた患者よりも無イベント生存期間が有意に長かった.新たな毒性は検出されなかった.(米国国立がん研究所,メルク シャープ&ドーム社から研究助成を受けた.S1801 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03698019)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 813 - 23. )