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March 9, 2023 Vol. 388 No. 10

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デスモイド腫瘍に対する γ-セクレターゼ阻害薬ニロガセスタット
Nirogacestat, a γ-Secretase Inhibitor for Desmoid Tumors

M. Gounder and Others

背景

デスモイド腫瘍は,局所進行性で高率に再発する,まれな軟部腫瘍であり,承認されている治療法はない.

方 法

固形癌治療効果判定基準(RECIST)バージョン 1.1 に基づく進行性デスモイド腫瘍の成人を対象として,ニロガセスタット(nirogacestat)の第 3 相国際共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験を行った.患者を,γ-セクレターゼ阻害薬ニロガセスタット(150 mg)を 1 日 2 回経口投与する群と,プラセボを投与する群に 1:1 の割合で割り付けた.主要エンドポイントは無増悪生存とした.

結 果

2019 年 5 月~2020 年 8 月に,70 例がニロガセスタット群,72 例がプラセボ群に割り付けられた.ニロガセスタットは,無増悪生存に関して,プラセボを上回る有意な利益を示し(病勢進行または死亡のハザード比 0.29,95%信頼区間 0.15~0.55,P<0.001),2 年の時点で無イベントである確率は,ニロガセスタット群で 76%,プラセボ群で 44%であった.無増悪生存の群間差は,事前に規定したすべてのサブグループに認められた.客観的奏効が得られた患者の割合は,ニロガセスタット群のほうがプラセボ群よりも有意に高く(41% 対 8%,P<0.001),奏効までの期間の中央値は,それぞれ 5.6 ヵ月と 11.1 ヵ月であった.完全奏効が得られた患者の割合は,それぞれ 7%と 0%であった.副次的有効性エンドポイントとした,疼痛,症状負担,身体機能・役割機能,健康関連 QOL などの患者報告アウトカムにも,有意な群間差が認められた(P≦0.01).ニロガセスタット群で頻度が高かった有害事象は,下痢(患者の 84%),悪心(54%),倦怠感(51%),低リン酸血症(42%),斑状丘疹状皮疹(32%)などであり,有害事象の 95%はグレード 1 または 2 であった.ニロガセスタットの投与を受けた妊娠可能な女性 36 例のうち,卵巣機能障害に該当する有害事象は 27 例(75%)に発現し,20 例(74%)で消失した.

結 論

進行性デスモイド腫瘍の成人において,ニロガセスタットは,無増悪生存,客観的奏効,疼痛,症状負担,身体機能,役割機能,健康関連 QOL に関して,有意な利益と関連した.ニロガセスタットによる有害事象の頻度は高かったが,大部分は低グレードであった.(スプリングワークス セラピューティクス社から研究助成を受けた.DeFi 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03785964)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 898 - 912. )