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October 5, 2023 Vol. 389 No. 14

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心筋梗塞に伴う心原性ショックに対する体外生命維持装置
Extracorporeal Life Support in Infarct-Related Cardiogenic Shock

H. Thiele and Others

背景

体外生命維持装置(ECLS)は,死亡への効果に関するエビデンスが十分ないにもかかわらず,心筋梗塞に伴う心原性ショックの治療に用いられることが増えている.

方 法

多施設共同試験で,心原性ショックを合併した急性心筋梗塞に対して早期血行再建が計画された患者を,早期 ECLS を通常の内科的治療と併用する群(ECLS 群)と,通常の内科的治療のみを行う群(対照群)に無作為に割り付けた.主要転帰は 30 日の時点での全死因死亡とした.安全性転帰は,出血,脳梗塞,インターベンション治療または外科的治療を要する末梢血管合併症とした.

結 果

420 例が無作為化され,417 例を最終解析の対象とした.30 日の時点で,全死因死亡は,ECLS 群では 209 例中 100 例(47.8%)に発生し,対照群では 208 例中 102 例(49.0%)に発生していた(相対リスク 0.98,95%信頼区間 [CI] 0.80~1.19,P=0.81).人工呼吸管理期間の中央値は,ECLS 群 7 日(四分位範囲 4~12),対照群 5 日(四分位範囲 3~9)であった(差の中央値 1 日,95% CI 0~2).安全性転帰のうち,中等度または重度の出血は,ECLS 群では 23.4%,対照群では 9.6%に発生し(相対リスク 2.44,95% CI 1.50~3.95),インターベンション治療を要する末梢血管合併症はそれぞれ 11.0%と 3.8%に発生した(相対リスク 2.86,95% CI 1.31~6.25).

結 論

心原性ショックを合併した急性心筋梗塞に対して早期血行再建が計画された患者のうち,ECLS が使用された患者では,内科的治療のみを受けた患者と比較して,追跡 30 日の時点での全死因死亡のリスクは低くなかった.(エルサ・クロナー・フレゼニウス財団ほかから研究助成を受けた.ECLS-SHOCK 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03637205)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 1286 - 97. )