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October 12, 2023 Vol. 389 No. 15

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HIV 陽性の成人の結核性髄膜炎に対する補助薬としてのデキサメタゾン
Adjunctive Dexamethasone for Tuberculous Meningitis in HIV-Positive Adults

J. Donovan and Others

背景

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に関連した結核性髄膜炎の治療には,安全性と有効性を支持するデータが限られているにもかかわらず,グルココルチコイドが補助薬として広く用いられている.

方 法

ベトナムとインドネシアで,結核性髄膜炎を有する HIV 陽性の成人(18 歳以上)を対象として,二重盲検無作為化プラセボ対照試験を行った.参加者を,12 ヵ月間の抗結核化学療法に加えて,デキサメタゾンを 6~8 週間で漸減投与する群と,プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,無作為化後 12 ヵ月間の全死因死亡とした.

結 果

520 例が,デキサメタゾン群(263 例)とプラセボ群(257 例)に無作為に割り付けられた.年齢の中央値は 36 歳で,520 例中 255 例(49.0%)は抗レトロウイルス療法を受けたことがなく,ベースラインの CD4 細胞数は,データを入手しえた 484 例中 251 例(51.9%)で 50/mm3 以下であった.6 例が試験参加を中止し,5 例が追跡不能となった.12 ヵ月の追跡期間中,デキサメタゾン群の 263 例中 116 例(44.1%)と,プラセボ群の 257 例中 126 例(49.0%)が死亡した(ハザード比 0.85,95%信頼区間 0.66~1.10,P=0.22).事前に規定した解析では,デキサメタゾンから明確な利益を得たサブグループはなかった.副次的エンドポイントには最初の 6 ヵ月間における免疫再構築症候群などが含まれたが,イベント発生率は 2 群で同程度であった.重篤な有害事象が 1 件以上発現した参加者数は,デキサメタゾン群(263 例中 192 例 [73.0%])とプラセボ群(257 例中 194 例 [75.5%])とで同程度であった(P=0.52).

結 論

結核性髄膜炎を有する HIV 陽性の成人において,補助薬としてのデキサメタゾンは,プラセボと比較して,生存,副次的エンドポイントに関して利益をもたらさなかった.(ウェルカムトラストから研究助成を受けた.ACT HIV 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03092817)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 1357 - 67. )