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October 12, 2023 Vol. 389 No. 15

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心筋梗塞に対する多枝 PCI による完全血行再建のタイミング
Timing of Complete Revascularization with Multivessel PCI for Myocardial Infarction

B.E. Stähli and Others

背景

ST 上昇型心筋梗塞(STEMI)と多枝冠動脈疾患を有する患者において,非責任病変の完全血行再建をどの時点で行うべきかは明らかにされていない.

方 法

欧州の 37 施設で,国際共同非盲検無作為化非劣性試験を行った.STEMI と多枝冠動脈疾患を有し,血行動態が安定している患者を,即時に多枝経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を行う群(即時群)と,責任病変に対する PCI を行い,その手技後 19~45 日以内に,非責任病変に対する段階的な多枝 PCI を行う群(段階群)に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,無作為化後 1 年の時点での全死因死亡,非致死的心筋梗塞,脳卒中,虚血による予定外の血行再建,心不全による入院の複合とした.主要エンドポイントまたは副次的エンドポイントのイベントが発生した患者の割合は,6 ヵ月および 1 年の時点での Kaplan–Meier 推定値として求めた.

結 果

418 例が即時に多枝 PCI を受ける群,422 例が段階的に多枝 PCI を受ける群に割り付けられた.主要エンドポイントのイベントは,即時群では 35 例(8.5%)に発生したのに対し,段階群では 68 例(16.3%)に発生した(リスク比 0.52,95%信頼区間 0.38~0.72,非劣性の P<0.001,優越性の P<0.001).非致死的心筋梗塞と,虚血による予定外の血行再建は,即時群ではそれぞれ 8 例(2.0%)と 17 例(4.1%)に発生し,段階群ではそれぞれ 22 例(5.3%)と 39 例(9.3%)に発生した.全死因死亡リスク,脳卒中リスク,心不全による入院リスクは,2 群で同程度と考えられた.重篤な有害事象は,即時群の 104 例と段階群の 145 例に発現した.

結 論

STEMI と多枝冠動脈疾患を有し,血行動態が安定している患者において,即時多枝 PCI は,1 年の時点での全死因死亡,非致死的心筋梗塞,脳卒中,虚血による予定外の血行再建,心不全による入院のリスクに関して,段階的多枝 PCI に対して非劣性を示した.(ボストン・サイエンティフィック社から支援を受けた.MULTISTARS AMI 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03135275)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 1368 - 79. )