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October 12, 2023 Vol. 389 No. 15

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複雑性黄色ブドウ球菌菌血症の治療に用いるセフトビプロール
Ceftobiprole for Treatment of Complicated Staphylococcus aureus Bacteremia

T.L. Holland and Others

背景

セフトビプロール(ceftobiprole)は,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)菌血症を含む,複雑性黄色ブドウ球菌菌血症の治療に有効な可能性があるセファロスポリン系薬である.

方 法

第 3 相二重盲検ダブルダミー非劣性試験で,複雑性黄色ブドウ球菌菌血症を有する成人を,セフトビプロール 500 mg の静脈内投与を 6 時間ごとに 8 日間,その後は 8 時間ごとに行う群と,ダプトマイシン 6~10 mg/kg 体重の静脈内投与を 24 時間ごとに行い,任意(試験実施施設の試験担当医師の判断)でアズトレオナムを併用する群に,1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要転帰は,無作為化後 70 日の時点での全体的な治療成功(生存,菌血症の消失,症状の改善,黄色ブドウ球菌菌血症関連の合併症が新たに発生していないこと,その他の有効な可能性のある抗菌薬の投与が行われていないことと定義)とし,試験群の割付けを知らないメンバーから成るデータ審査委員会が判定した.非劣性マージンは 15%とした.安全性も評価した.

結 果

無作為化された 390 例のうち,黄色ブドウ球菌菌血症は 387 例(セフトビプロール群 189 例,ダプトマイシン群 198 例)で確認され,セフトビプロールまたはダプトマイシンが投与された(修正 intention-to-treat 集団).全体的な治療成功は,セフトビプロール群では 189 例中 132 例(69.8%),ダプトマイシン群では 198 例中 136 例(68.7%)で得られた(補正後の差 2.0 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -7.1~11.1).結果は,主要なサブグループにおいても,セフトビプロール群とダプトマイシン群とのあいだで一致し,死亡率(それぞれ 9.0%と 9.1%,95% CI -6.2~5.2),微生物学的除菌率(82.0%と 77.3%,95% CI -2.9~13.0)などの副次的転帰に関しても一致していると思われた.有害事象は,セフトビプロール群の 191 例では 121 例(63.4%),ダプトマイシン群の 198 例では 117 例(59.1%)報告され,重篤な有害事象はそれぞれ 36 例(18.8%),45 例(22.7%)報告された.消化器系有害事象(主に軽度の悪心)は,セフトビプロール群のほうが頻度が高かった.

結 論

セフトビプロールは,複雑性黄色ブドウ球菌菌血症患者の全体的な治療成功に関して,ダプトマイシンに対して非劣性を示した.(バジリア ファーマシューティカ インターナショナル社,米国保健福祉省から研究助成を受けた.ERADICATE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03138733)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 1390 - 401. )