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November 9, 2023 Vol. 389 No. 19

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感染と入院を予防するための介護施設における除菌
Decolonization in Nursing Homes to Prevent Infection and Hospitalization

L.G. Miller and Others

背景

介護施設の入居者は,感染,入院,多剤耐性菌保菌のリスクが高い.

方 法

介護施設において,全員に対する除菌と,ルーチンケアの入浴とを比較するクラスター無作為化試験を行った.18 ヵ月のベースライン期間と 18 ヵ月の介入期間を設けた.除菌群では,ルーチンの入浴とシャワー浴すべてにクロルヘキシジンを使用し,ポビドンヨードの鼻腔内塗布を入居後最初の 5 日間は 1 日 2 回行い,その後は 1 日 2 回,5 日間の塗布を隔週で行った.主要転帰は,感染による病院搬送とした.副次的転帰は,あらゆる理由による病院搬送とした.試験群間で介入期間をベースライン期間と比較するため,一般化線形混合モデルを用いて各転帰の intention-to-treat(割付けどおりの)差分の差分析を行った.

結 果

28 の介護施設の入居者計 28,956 例からデータが得られた.ルーチンケア群の病院搬送のうち,感染による病院搬送が占める割合は,ベースライン期間中は 62.2%(施設間の平均),介入期間中は 62.6%であった(リスク比 1.00,95%信頼区間 [CI] 0.96~1.04).除菌群ではそれぞれ 62.9%と 52.2%(リスク比 0.83,95% CI 0.79~0.88)であり,ルーチンケア群と比較したリスク比の差は 16.6%(95% CI 11.0~21.8,P<0.001)であった.ルーチンケア群における介護施設退居のうち,あらゆる理由による病院搬送が占める割合は,ベースライン期間中は 36.6%,介入期間中は 39.2%であった(リスク比 1.08,95% CI 1.04~1.12).除菌群ではそれぞれ 35.5%と 32.4%(リスク比 0.92,95% CI 0.88~0.96)であり,ルーチンケア群と比較したリスク比の差は 14.6%(95% CI 9.7~19.2)であった.感染による入院を 1 件予防するための治療必要数は 9.7,あらゆる理由による入院を 1 件予防するための治療必要数は 8.9 であった.

結 論

介護施設において,入居者全員にクロルヘキシジンと鼻腔内ヨードホール塗布による除菌を行うことで,感染による病院搬送のリスクがルーチンケアよりも有意に低くなった.(米国医療研究・品質局から研究助成を受けた.Protect 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03118232)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 1766 - 77. )