November 23, 2023 Vol. 389 No. 21
EGFR 変異陽性進行非小細胞肺癌に対するオシメルチニブと化学療法の併用とオシメルチニブ単剤との比較
Osimertinib with or without Chemotherapy in EGFR-Mutated Advanced NSCLC
D. Planchard and Others
オシメルチニブは,上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)感受性変異と EGFR T790M 耐性変異を選択的に阻害する第三世代の EGFR-TKI である.化学療法を追加することで,EGFR-TKI 療法の利益が大きくなる可能性があることを示唆するエビデンスがある.
第 3 相国際共同非盲検試験で,進行病変の治療を受けていない EGFR 変異陽性(エクソン 19 欠失または L858R 変異)進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者を,オシメルチニブ(80 mg 1 日 1 回)に,化学療法(ペメトレキセド [500 mg/m2 体表面積] と,シスプラチン [75 mg/m2] またはカルボプラチン [薬理学的用量])を併用する群と,オシメルチニブ(80 mg 1 日 1 回)単剤療法を行う群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,試験担当医師が評価した無増悪生存期間とした.奏効と安全性も評価した.
557 例が無作為化された.試験担当医師が評価した無増悪生存期間は,オシメルチニブ+化学療法群のほうがオシメルチニブ群よりも有意に長かった(病勢進行または死亡のハザード比 0.62,95%信頼区間 [CI] 0.49~0.79,P<0.001).24 ヵ月の時点で,無増悪生存割合はオシメルチニブ+化学療法群 57%(95% CI 50~63),オシメルチニブ群 41%(95% CI 35~47)であった.独立中央判定委員会が盲検下で評価した無増悪生存期間は,主要解析と一致した(ハザード比 0.62,95% CI 0.48~0.80).客観的奏効(完全奏効または部分奏効)は,オシメルチニブ+化学療法群では 83%,オシメルチニブ群では 76%に認められ,奏効期間の中央値はそれぞれ 24.0 ヵ月(95% CI 20.9~27.8)と 15.3 ヵ月(95% CI 12.7~19.4)であった.あらゆる原因によるグレード 3 以上の有害事象の発現率は併用群のほうが単剤療法群よりも高く,既知の化学療法関連有害事象に起因するものであった.オシメルチニブにペメトレキセドと白金製剤を併用するレジメンの安全性プロファイルは,各薬剤の確立されている安全性プロファイルと一致した.
EGFR 変異陽性進行 NSCLC 患者にオシメルチニブ+化学療法による一次治療を行った場合,オシメルチニブ単剤療法を行った場合と比較して無増悪生存期間が有意に長かった.(アストラゼネカ社から研究助成を受けた.FLAURA2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04035486)