November 23, 2023 Vol. 389 No. 21
低リスク患者に対する経カテーテル大動脈弁置換術の 5 年後の転帰
Transcatheter Aortic-Valve Replacement in Low-Risk Patients at Five Years
M.J. Mack and Others
この試験の既報の解析では,重度症候性大動脈弁狭窄症を有する手術リスクの低い患者に対して経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)を行った場合,外科的大動脈弁置換術を行った場合と比較して,1 年の時点での死亡,脳卒中,再入院の複合エンドポイントの発生率が有意に低いことが示された.より長期の転帰は不明である.
重度症候性大動脈弁狭窄症を有する手術リスクの低い患者を,TAVR を行う群と外科的弁置換術を行う群に無作為に割り付けた.第 1 主要エンドポイントは,死亡,脳卒中,弁・手技・心不全に関連する再入院の複合とした.第 2 主要エンドポイントは,死亡,後遺症の残る脳卒中,後遺症の残らない脳卒中,再入院日数から成る階層的複合とし,win 比解析を用いて解析した.臨床転帰,心エコー上の転帰,健康状態の転帰を 5 年間評価した.
1,000 例が無作為化され,503 例が TAVR 群,497 例が外科的弁置換術群に割り付けられた.第 1 主要エンドポイントの項目のいずれかは,TAVR 群では 496 例中 111 例,外科的弁置換術群では 454 例中 117 例に発生した(Kaplan–Meier 推定値は TAVR 群 22.8%,外科的弁置換術群 27.2%,差 -4.3 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -9.9~1.3,P=0.07).第 2 主要エンドポイントの win 比は 1.17(95% CI 0.90~1.51,P=0.25)であった.第 1 主要エンドポイントの各項目の Kaplan–Meier 推定値は,死亡が TAVR 群 10.0%と外科的弁置換術群 8.2%,脳卒中がそれぞれ 5.8%と 6.4%,再入院が 13.7%と 17.4%であった.弁の血行動態の評価項目とした平均(±SD)圧較差は,TAVR 群で 12.8±6.5 mmHg,外科的弁置換術群で 11.7±5.6 mmHg であった.生体弁機能不全は,TAVR 群の 3.3%と外科的弁置換術群の 3.8%に発生した.
重度症候性大動脈弁狭窄症を有する低リスク患者のうち,TAVR を受けた患者と外科的弁置換術を受けた患者とで,2 つの主要複合転帰に有意な群間差は認められなかった.(エドワーズ ライフサイエンス社から研究助成を受けた.PARTNER 3 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02675114)