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November 23, 2023 Vol. 389 No. 21

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進行または転移性尿路上皮癌に対するエルダフィチニブと化学療法との比較
Erdafitinib or Chemotherapy in Advanced or Metastatic Urothelial Carcinoma

Y. Loriot and Others

背景

エルダフィチニブ(erdafitinib)は,全線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害薬であり,感受性 FGFR3/2 変異陽性の局所進行または転移性尿路上皮癌を有し,白金製剤を含む化学療法後に進行を認めた成人の治療薬として承認されている.FGFR 変異陽性転移性尿路上皮癌を有し,チェックポイント阻害薬(抗プログラム細胞死蛋白 1 [PD-1] 薬または抗プログラム細胞死リガンド 1 [PDL1] 薬)による治療中または治療後に進行を認めた患者に対するエルダフィチニブの効果は明らかにされていない.

方 法

感受性 FGFR3/2 変異陽性の転移性尿路上皮癌を有し,抗 PD-1 薬または抗 PD-L1 薬を含む 1~2 種類の前治療後に進行を認めた患者を対象として,エルダフィチニブを化学療法と比較する国際共同第 3 相試験を行った.患者を,エルダフィチニブを投与する群と,試験担当医師が選択した化学療法(ドセタキセルまたはビンフルニン [vinflunine])を行う群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは全生存とした.

結 果

266 例が無作為化され,136 例がエルダフィチニブ群,130 例が化学療法群に割り付けられた.追跡期間の中央値は 15.9 ヵ月であった.全生存期間の中央値は,エルダフィチニブ群のほうが化学療法群よりも有意に長かった(12.1 ヵ月 対 7.8 ヵ月,死亡のハザード比 0.64,95%信頼区間 [CI] 0.47~0.88,P=0.005).無増悪生存期間の中央値も,エルダフィチニブ群のほうが化学療法群よりも長かった(5.6 ヵ月 対 2.7 ヵ月,進行または死亡のハザード比 0.58,95% CI 0.44~0.78,P<0.001).グレード 3 または 4 の治療関連有害事象の発現率は 2 群で同程度であった(エルダフィチニブ群 45.9%,化学療法群 46.4%).死亡にいたった治療関連有害事象は,エルダフィチニブ群のほうが化学療法群よりも頻度が低かった(0.7% 対 5.4%).

結 論

抗 PD-1 薬または抗 PD-L1 薬による前治療歴のある FGFR 変異陽性の転移性尿路上皮癌患者にエルダフィチニブ療法を行った場合,化学療法を行った場合と比較して,全生存期間が有意に長かった.(ヤンセン・リサーチ・アンド・ディベロップメント社から研究助成を受けた.THOR 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03390504)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 1961 - 71. )