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July 20, 2023 Vol. 389 No. 3

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高血圧に対する RNA 干渉治療薬ジレベシラン
Zilebesiran, an RNA Interference Therapeutic Agent for Hypertension

A.S. Desai and Others

背景

アンジオテンシノーゲンは,アンジオテンシンペプチドの唯一の前駆体であり,高血圧の発症機序に重要な役割を果たしている.現在臨床試験中の長時間作用型 RNA 干渉治療薬であるジレベシラン(zilebesiran)は,肝臓でのアンジオテンシノーゲンの合成を阻害する.

方 法

第 1 相試験で,高血圧患者を,ジレベシランを用量漸増法で(10,25,50,100,200,400,800 mg を)単回皮下投与する群と,プラセボを投与する群に 2:1 の割合で無作為に割り付け,24 週間追跡した(パート A).パート B では,低塩食または高塩食の条件下での,ジレベシラン 800 mg の血圧に対する効果を評価し,パート E では,ジレベシラン 800 mg をイルベサルタンと同時投与した場合の効果を評価した.エンドポイントは,安全性,薬物動態・薬力学的特性,24 時間自由行動下血圧モニタリングで測定した収縮期・拡張期血圧のベースラインからの変化などとした.

結 果

登録された 107 例のうち,5 例に軽度,一過性の注射部位反応があった.医学的介入にいたった低血圧,高カリウム血症,腎機能の悪化の報告はなかった.パート A では,ジレベシラン投与患者の血清アンジオテンシノーゲン濃度に低下が認められ,投与量と相関していた(8 週の時点で r=-0.56,95%信頼区間 -0.69~-0.39).ジレベシラン(≧200 mg)の単回投与は,8 週までの収縮期血圧の低下(>10 mmHg)と,拡張期血圧の低下(>5 mmHg)と関連した.これらの変化は日内変動内で一貫しており,24 週の時点でも持続していた.パート B の結果は,高塩食による血圧に対する効果の減弱に一致し,パート E の結果は,イルベサルタンとの同時投与による効果の増大と一致していた.

結 論

ジレベシラン 200 mg 以上の単回皮下投与により,血清アンジオテンシノーゲン濃度と 24 時間自由行動下血圧の用量依存的な低下が 24 週まで持続した.軽度の注射部位反応が観察された.(アルナイラム ファーマシューティカルズ社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03934307,EudraCT 登録番号 2019-000129-39)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 228 - 38. )