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July 27, 2023 Vol. 389 No. 4

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インスリン治療歴のない 2 型糖尿病に対するアイコデックの週 1 回投与とグラルギン U100 の 1 日 1 回投与との比較
Weekly Icodec versus Daily Glargine U100 in Type 2 Diabetes without Previous Insulin

J. Rosenstock and Others

背景

インスリンアイコデック(insulin icodec)は,週 1 回投与で糖尿病を管理する現在臨床試験中の基礎インスリンアナログである.

方 法

2 型糖尿病(糖化ヘモグロビン値 7~11%)を有するインスリン治療歴のない成人を対象として,78 週間の無作為化非盲検 treat-to-target(目標達成に向けた治療)第 3a 相試験(主要期 52 週間,延長期 26 週間,追跡調査 5 週間から成る)を行った.参加者を,インスリンアイコデックを週 1 回投与する群と,インスリングラルギン U100 を 1 日 1 回投与する群に,1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,糖化ヘモグロビン値のベースラインから 52 週目までの変化量とし,確認的副次的エンドポイントは,48 週目~52 週目に,血糖値が 70~180 mg/dL(3.9~10.0 mmol/L)の範囲内であった時間の割合とした.低血糖エピソード(ベースラインから 52 週目までと,ベースラインから 83 週目まで)を記録した.

結 果

各群に 492 例が割り付けられた.ベースライン特性は 2 群で同様であった.52 週の時点での糖化ヘモグロビン値の低下量の平均は,アイコデック群のほうがグラルギン U100 群よりも大きく(アイコデック群:8.50%から 6.93%に低下 [平均変化量 -1.55 パーセントポイント],グラルギン U100 群:8.44%から 7.12%に低下 [平均変化量 -1.35 パーセントポイント]),群間差の推定値(-0.19 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -0.36~-0.03)から,アイコデックの非劣性(P<0.001)と優越性(P=0.02)が示された.血糖値が 70~180 mg/dL の範囲内であった時間の割合は,アイコデック群のほうがグラルギン U100 群よりも有意に高く(71.9% 対 66.9%,群間差の推定値 4.27 パーセントポイント [95% CI 1.92~6.62],P<0.001),アイコデックの優越性が示された.臨床的に意義のある低血糖と,重度の低血糖を合わせた発生率は,52 週の時点でアイコデック群 0.30 件/人年,グラルギン U100 群 0.16 件/人年であり(推定発生率比 1.64,95% CI 0.98~2.75),83 週の時点でそれぞれ 0.30 件/人年,0.16 件/人年であった(推定発生率比 1.63,95% CI 1.02~2.61).新たな安全性シグナルは確認されず,有害事象の発現率は 2 群で同程度であった.

結 論

インスリンアイコデックの週 1 回投与は,インスリングラルギン U100 の 1 日 1 回投与と比較して,血糖コントロールが有意に良好であった.(ノボ ノルディスク社から研究助成を受けた.ONWARDS 1 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04460885)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 297 - 308. )