August 10, 2023 Vol. 389 No. 6
早期非小細胞肺癌に対する周術期のペムブロリズマブ
Perioperative Pembrolizumab for Early-Stage Non–Small-Cell Lung Cancer
H. Wakelee and Others
切除可能な早期非小細胞肺癌(NSCLC)患者では,免疫チェックポイントの阻害を術前と術後の両方に行う周術期アプローチにより,いずれか一方のみよりも利益が得られる可能性がある.
早期 NSCLC 患者を対象に周術期のペムブロリズマブを評価するための無作為化二重盲検第 3 相試験を行った.切除可能な II 期,IIIA 期または IIIB 期(N2)の NSCLC 患者を,術前にペムブロリズマブ(200 mg)の 3 週ごと投与をシスプラチンベースの化学療法との併用で 4 サイクル行い,その後手術を行って術後にペムブロリズマブ(200 mg)の 3 週ごと投与を最大 13 サイクル行う群と,術前にプラセボ+化学療法,その後手術,術後にプラセボを投与する群に 1:1 の割合で割り付けた.主要エンドポイントは,無イベント生存(無作為化から,予定された手術を不可能にする局所進行の初回発生,切除不能な腫瘍,病勢進行または再発,死亡までの期間)と,全生存の 2 つとした.副次的エンドポイントは,病理学的著効,病理学的完全奏効,安全性などとした.
397 例がペムブロリズマブ群,400 例がプラセボ群に割り付けられた.事前に規定した最初の中間解析の時点で,追跡期間の中央値は 25.2 ヵ月であった.24 ヵ月の時点での無イベント生存率は,ペムブロリズマブ群 62.4%,プラセボ群 40.6%であった(病勢進行,再発,死亡のハザード比 0.58,95%信頼区間 [CI] 0.46~0.72,P<0.001).24 ヵ月全生存率の推定値は,ペムブロリズマブ群 80.9%,プラセボ群 77.6%であった(P=0.02 で有意性の基準を満たさず).病理学的著効は,ペムブロリズマブ群の 30.2%,プラセボ群の 11.0%で得られ(差 19.2 パーセントポイント,95% CI 13.9~24.7,P<0.0001,閾値は P=0.0001),病理学的完全奏効はそれぞれ 18.1%と 4.0%で得られた(差 14.2 パーセントポイント,95% CI 10.1~18.7,P<0.0001,閾値は P=0.0001).すべての治療期を通じて,治療関連有害事象は,グレード 3 以上がペムブロリズマブ群の 44.9%とプラセボ群の 37.3%に発現し,グレード 5 はそれぞれ 1.0%と 0.8%に発現した.
切除可能な早期 NSCLC 患者において,術前にペムブロリズマブ+化学療法を行い,その後手術を行って術後にペムブロリズマブを投与した場合,術前に化学療法のみを行い,その後手術を行った場合と比較して,無イベント生存,病理学的著効,病理学的完全奏効が有意に改善した.今回の解析では,全生存に群間で有意差は認められなかった.(メルク シャープ&ドーム社から研究助成を受けた.KEYNOTE-671 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03425643)