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August 10, 2023 Vol. 389 No. 6

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III 期非小細胞肺癌に対する周術期のニボルマブと化学療法
Perioperative Nivolumab and Chemotherapy in Stage III Non–Small-Cell Lung Cancer

M. Provencio and Others

背景

非小細胞肺癌(NSCLC)患者の約 20%は,III 期と診断される.III 期 NSCLC 患者に対する最適な治療について,現在コンセンサスは得られていない.

方 法

非盲検第 2 相試験で,切除可能な IIIA 期または IIIB 期 NSCLC 患者を,術前にニボルマブ+白金製剤ベースの化学療法を行い,手術を行う群(実験群)と,術前は化学療法のみを行い,手術を行う群(対照群)に無作為に割り付けた.実験群で R0 切除が得られた患者には,ニボルマブによる術後補助療法を 6 ヵ月間行った.主要エンドポイントは病理学的完全奏効(切除した肺とリンパ節における生存腫瘍細胞が 0%)とした.副次的エンドポイントは,24 ヵ月の時点での無増悪生存と全生存,安全性などとした.

結 果

86 例が無作為化され,57 例が実験群,29 例が対照群に割り付けられた.病理学的完全奏効は,実験群の 37%と対照群の 7%で得られた(相対リスク 5.34,95%信頼区間 [CI] 1.34~21.23,P=0.02).手術は,実験群の 93%と対照群の 69%に行われた(相対リスク 1.35,95% CI 1.05~1.74).24 ヵ月の時点での無増悪生存割合の Kaplan–Meier 推定値は,実験群 67.2%,対照群 40.9%であった(病勢進行,再発,死亡のハザード比 0.47,95% CI 0.25~0.88).24 ヵ月の時点での全生存割合の Kaplan–Meier 推定値は,実験群 85.0%,対照群 63.6%であった(死亡のハザード比 0.43,95% CI 0.19~0.98).グレード 3 または 4 の有害事象は,実験群の 11 例(19%,一部の患者では両グレードの事象が発現した)と,対照群の 3 例(10%)に発現した.

結 論

切除可能な IIIA 期または IIIB 期 NSCLC 患者において,ニボルマブ+化学療法による周術期治療により,化学療法単独と比較して病理学的完全奏効割合が高くなり,生存期間が長くなった.(ブリストル・マイヤーズ スクイブ社ほかから研究助成を受けた.NADIM II 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03838159,EudraCT 登録番号 2018-004515-45)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 504 - 13. )