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August 10, 2023 Vol. 389 No. 6

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肥満に対するトリプルホルモン受容体作動薬レタトルチド ― 第 2 相試験
Triple–Hormone-Receptor Agonist Retatrutide for Obesity — A Phase 2 Trial

A.M. Jastreboff and Others

背景

レタトルチド(retatrutide;LY3437943)は,グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド,グルカゴン様ペプチド 1,グルカゴンの受容体作動薬である.肥満治療における副作用,安全性,有効性に関する用量反応関係は明らかでない.

方 法

体格指数(BMI,体重 [kg]/身長 [m]2)30 以上,または BMI 27~30 未満で体重に関連する病態を 1 つ以上有する成人を対象として,第 2 相二重盲検無作為化プラセボ対照試験を行った.参加者を,レタトルチド 1 mg 群,4 mg(初回用量 2 mg)群,4 mg(初回用量 4 mg)群,8 mg(初回用量 2 mg)群,8 mg(初回用量 4 mg)群,12 mg(初回用量 2 mg)群,プラセボ群に 2:1:1:1:1:2:2 の割合で無作為に割り付け,週 1 回,48 週間皮下投与した.主要エンドポイントは,ベースラインから 24 週目までの体重の変化量(%)とした.副次的エンドポイントは,ベースラインから 48 週目までの体重の変化量(%),体重の 5%以上減,10%以上減,15%以上減などとした.安全性も評価した.

結 果

338 例を組み入れ,51.8%が男性であった.24 週の時点での体重の変化量(%)の最小二乗平均値は,レタトルチド群では 1 mg 群 -7.2%,4 mg 統合群 -12.9%,8 mg 統合群 -17.3%,12 mg 群 -17.5%であったのに対し,プラセボ群では -1.6%であった.48 週の時点での体重の変化量(%)の最小二乗平均値は,レタトルチド群では 1 mg 群 -8.7%,4 mg 統合群 -17.1%,8 mg 統合群 -22.8%,12 mg 群 -24.2%であったのに対し,プラセボ群では -2.1%であった.48 週の時点で,体重の 5%以上減,10%以上減,15%以上減が得られた割合は,レタトルチド 4 mg の投与を受けた参加者ではそれぞれ 92%,75%,60%,8 mg の投与を受けた参加者では 100%,91%,75%,12 mg の投与を受けた参加者では 100%,93%,83%,プラセボの投与を受けた参加者では 27%,9%,2%であった.レタトルチド群でとくに頻度の高かった有害事象は消化器系の事象であり,これらは用量に関連し,大部分が軽度~中等度で,開始用量が低い場合(2 mg 対 4 mg)部分的に軽減された.心拍数の用量依存的な増加は 24 週の時点でピークに達し,その後低下した.

結 論

肥満の成人において,レタトルチドの 48 週間の投与により,体重が大幅に減少した.(イーライリリー社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04881760)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 514 - 26. )