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August 24, 2023 Vol. 389 No. 8

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HIV 感染者の心血管疾患を予防するためのピタバスタチン
Pitavastatin to Prevent Cardiovascular Disease in HIV Infection

S.K. Grinspoon and Others

背景

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者は心血管疾患のリスクが高い.そのため,この集団における一次予防戦略に関するデータが必要である.

方 法

第 3 相試験で,抗レトロウイルス療法を受けている HIV 感染者で,心血管疾患リスクが低~中等度の 7,769 例を,ピタバスタチンカルシウム(用量 4 mg)を 1 日 1 回投与する群と,プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要転帰は主要有害心血管イベントの発生とし,その定義は心血管死,心筋梗塞,不安定狭心症による入院,脳梗塞,一過性脳虚血発作,末梢動脈虚血,血行再建,原因不明の死亡の複合とした.

結 果

参加者の年齢中央値は 50 歳(四分位範囲 45~55),CD4 細胞数の中央値は 621/mm3(四分位範囲 448~827)であり,HIV RNA 量はデータを入手しえた 5,997 例中 5,250 例(87.5%)で定量下限未満であった.追跡期間中央値 5.1 年(四分位範囲 4.3~5.9)の時点で有効性が認められたため,試験は早期に中止された.主要有害心血管イベントの発生率は,ピタバスタチン群で 4.81/1,000 人年,プラセボ群で 7.32/1,000 人年であった(ハザード比 0.65,95%信頼区間 [CI] 0.48~0.90,P=0.002).筋関連症状は,ピタバスタチン群では 91 例(2.3%),プラセボ群では 53 例(1.4%)に発現し,糖尿病はそれぞれ 206 例(5.3%),155 例(4.0%)に発症した.

結 論

ピタバスタチンの投与を受けた HIV 感染者は,プラセボの投与を受けた HIV 感染者よりも,中央値 5.1 年の追跡期間における主要有害心血管イベントのリスクが低かった.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.REPRIEVE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02344290)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 687 - 99. )