The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

February 1, 2001
Vol. 344 No. 5

  • ワクチン接種と多発性硬化症の再発リスク
    Vaccinations and the Risk of Relapse in Multiple Sclerosis

    この研究では,多発性硬化症の再発患者を,自分自身を対照として用いて,種々の一般的な疾患に対するワクチン接種と,再発リスクとの関連を検討した.再発患者 643 例のうち,再発前の 2 ヶ月間にワクチン接種を受けていたのは 2.3%であり,それ以前の対照期間にワクチン接種を受けていた割合と有意な差異はなかった.したがって,ワクチン接種によって,再発のリスクは上昇しないようである.
    この大規模研究は,いくつかの先行研究とは異なる結果であり,破傷風,B 型肝炎,インフルエンザ等の疾患に対するワクチン接種によって,再発の短期リスクが上昇しないという安心を,医師や多発性硬化症の患者にもたらすものである.

  • B 型肝炎ワクチン接種と多発性硬化症
    Hepatitis B Vaccination and the Risk of Multiple Sclerosis

    B 型肝炎のワクチン接種によって,多発性硬化症が発症する可能性が懸念されてきた.この研究では,多発性硬化症の女性患者 192 例と,患者とマッチさせた対照群 645 例のデータを分析した.B 型肝炎ワクチンへの曝露と,その後の多発性硬化症の発症に,明らかな関連はなかった.
    このコホート内症例対照研究は,多数の多発性硬化症の女性患者を対象としており,ワクチン接種は証明書で確認した.今回の結果から,弱い関連が存在する可能性まで否定することはできないが,B 型肝炎ワクチン接種に関する現行の方針を支持するものである.

  • 高齢女性の大腿骨頸部骨折リスクに対するリゼドロネートの効果
    Effect of Risedronate on the Risk of Hip Fracture in Elderly Women

    高齢女性の大腿骨頸部骨折リスクに対するリゼドロネートの効果

    大腿骨頸部骨折は,高齢者とくに女性における,疾病と死亡の重要な原因である.この研究では,70 ~ 79 歳の骨粗鬆症の女性 5,445 例と,骨粗鬆症ではないが骨格系以外の危険因子を持つ 80 歳以上の女性 3,886 例という,高齢女性の 2 集団に対して,リゼドロネートまたはプラセボによる治療を,最長 3 年間行った.70 ~ 79 歳の女性のグループにおける,大腿骨頸部骨折の発生率は,リゼドロネート群では 1.9%であったのに対して,プラセボ群では 3.2%であった.80 歳以上の女性のグループにおける,大腿骨頸部骨折の発生率は,リゼドロネート群では 4.2%,プラセボ群では 5.1%であった.
    リゼドロネートは,骨量減少症や骨粗鬆症の女性において,脊椎や大腿骨頸部の骨塩密度を増加させる.大腿骨頸部骨折のリスクに対するリゼドロネートの効果は,この研究の二つの女性集団で異なっていた.この結果は,大腿骨頸部骨折の予防に対して,骨密度の増加が万能策ではないことを示しており,大腿骨頸部骨折に対する骨格系以外の危険因子に,より注目する必要性を示している.

  • 高地で生活するチベットの小児の栄養と健康状態
    Nutritional and Health Status of Tibetan Children Living at High Altitudes

    高地で生活するチベットの小児の栄養と健康状態

    高地で生活している小児には,成長の遅れが多くみられるが,標高そのものより,低栄養と疾患が原因の可能性がある.チベットの地理的,人口学的に多様なコミュニティで生活する,新生児から月齢 84 ヵ月までのチベット人小児 2,078 例を対象とするこの研究では,小児の 51%に,中等度または重度の成長阻害を認めた.成長阻害は,都市部以外に居住する小児や,くる病,皮膚病変,腹部膨満などの臨床病態を伴う小児でより顕著だったが,標高とは関連していなかった.
    高地で生活する小児の成長の遅れは,単なる居住場所によって説明できるものではなく,むしろ栄養や疾患が関係するものであることを,今回の結果は示唆している.これはつまり,小児の健康と栄養を改善するための努力が,こうした地域に生活する小児の成長を促進する上で効果的であることを意味している.

  • 免疫学の進歩:喘息
    Advances in Immunology: Asthma

    免疫学の進歩:喘息

    この包括的な総説は,本誌の免疫学シリーズの一部であり,喘息の発生病理に対する,アレルギー性炎症,Th1 細胞と Th2 細胞の不均衡,気道再構築の寄与を検討している.

  • プライマリケア:腰痛
    Primary Care: Low Back Pain

    プライマリケア:腰痛

    この総説では,腰痛患者の診断的評価について概説すると同時に,非特異的な腰痛,椎間板ヘルニア,脊椎管狭窄,慢性的腰痛の治療指針を示している.

  • Occasional Notes:ボストンで発生した天然痘の最後の流行とワクチン接種の論争,1901 ~ 1903 年
    Occasional Notes: The Last Smallpox Epidemic in Boston and the Vaccination Controversy, 1901-1903

    1901 ~ 03 年にかけて,1,600 例近い天然痘がボストンで発生し,270 例が死亡した.無料で自発的なワクチン接種プログラムに,限定的な効果しかないことが明らかになった時点で,ワクチン接種は義務となり,接種を拒否した者には罰金が課せられた.最高裁の決定は,危険な伝染病から社会を保護するための国家の権利を支持した.本稿の著者は,この伝染病がきっかけで生じた,公衆衛生的,社会的,倫理的な論争について議論している.