早期前立腺癌の男性合計 695 例を，根治的前立腺切除術あるいは経過観察のいずれかに無作為に割付けた．中央値 6 年超の追跡期間後，前立腺癌による死亡は，経過観察群でより多く起きたが，両群における全体の生存率は基本的に同じであった．
この無作為試験では，新たに前立腺癌と診断された患者に有用であろう情報を医師に提供している．Steineck らによる併載論文では，この研究に組み入れられた両群の男性の QOL に対する補完データを提供している．

微量アルブミン尿は糖尿病性腎症の前兆となるが，これは比較的後期の徴候と考えられる．夜間高血圧症が糖尿病性腎症の早期指標であるのかもしれない．研究者らは，登録時に血圧も尿中アルブミン排泄も正常な 1 型糖尿病患者 75 例を対象とした前向き研究において，24 時間携帯式血圧測定法を用いた．やがて被験者 14 例で微量アルブミン尿が発現した．夜間血圧の上昇が微量アルブミン尿発現に先行した．夜間の正常な血圧下降は，微量アルブミン尿症発生に対する陰性適中率が 91%であり，70%のリスク低下と関連していた．
携帯式血圧測定法は，微量アルブミン尿ならびにその後の腎症発生のリスクがある 1 型糖尿病患者を識別する手段となる可能性がある．

2001 年 9 月 11 日のニューヨーク世界貿易センターの崩壊と火災は，大量の飛散物質を発生した．著者らは，世界貿易センター敷地で働いた消防士 332 名における，重症の咳嗽，努力肺活量と 1 秒量の減少，および気道反応性亢進を特徴とする症候群に関して報告している．ほとんどの場合，咳嗽は 6 週間以上持続したが，自然にまたは治療により消退した．CT スキャンでは，空気とらえこみと気管支壁の肥厚化が明らかになった．
世界貿易センター敷地で救助活動に携わった労働者は，気道機能不全の存在と一致する臨床的，生理学的，および X 線検査結果の変化を示した．このような状況では，気道の保護が不可欠である．

呼吸保護は，ガス，蒸気，生物剤などの微粒子などに曝露する多くの職業において重要である．この論文は，呼吸保護のタイプ，およびこれらの器具の正しい選択と使用の必要性について概説している．呼吸用保護具には予測可能な生理学的効果があり，低酸素濃度の状況下では，呼吸用保護具の誤った使用が窒息のリスクを増加させる．