The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み
  • 目 次
  • This Week at NEJM.org

    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

May 1, 2003
Vol. 348 No. 18

ORIGINAL ARTICLES

  • 侵襲性肺炎球菌感染症に対する結合型ワクチンの効果
    Effects of the Conjugate Vaccine on Invasive Pneumococcal Disease

    2000 年,蛋白-ポリサッカライド結合型肺炎球菌ワクチンの乳児と小児における使用が推奨された.感染症サーベイランスデータでは,1998~2001 年にかけて,2 歳未満の小児における侵襲性感染症の罹患率が 69%低下したことが示されている.成人の肺炎球菌性疾患においても,わずかではあるが有意な減少が認められた.
    結合型ワクチンが推奨されている乳児や小児では,ワクチンの使用で,肺炎球菌敗血症や髄膜炎の発生が減少しつつある.小児からの肺炎球菌伝播が減少するため,副次的な利益として成人の肺炎球菌感染症の予防が考えられる.

  • 高齢者における肺炎球菌ワクチンの有効性
    Effectiveness of Pneumococcal Vaccine in Older Adults

    この 47,000 人以上の高齢者を対象とした住民ベースの後ろ向き研究では,肺炎球菌ワクチンの有効性を評価した.ワクチン接種は肺炎球菌性菌血症リスクの有意な減少と関連していたが,3 年にわたる追跡では,市中感染性肺炎のリスクは減少しなかった(ハザード比 1.07).
    肺炎球菌ワクチンの接種は,生命を脅かすような菌血症から高齢者を守るのに役立つが,肺炎に対する予防効果はあったとしてもごくわずかでしかない.非菌血症性の肺炎球菌感染を予防するには別の方法が必要である.

ORIGINAL ARTICLE

  • 重度の大動脈弁狭窄および心不全に対するニトロプルシド
    Nitroprusside in Severe Aortic Stenosis and Heart Failure

    重度の大動脈弁狭窄および心不全に対するニトロプルシド

    大動脈弁狭窄と左室機能不全を有する重症患者では,低血圧を起す可能性が懸念されるため,血管拡張療法は禁忌であると考えられてきた.この試験では,慎重に監視された状況でこのような患者 25 例にニトロプルシドを投与したところ,これまでの教えに反して,心係数および他の血行動態変数に顕著な改善が認められた.
    これらの知見は,これらの重症患者の治療に対する標準的アプローチを変えるであろう.ニトロプルシド療法は,大動脈弁置換や経口血管拡張薬を用いた維持療法への橋渡しとして利用できる.

  • 慢性リンパ性白血病における ZAP-70 の発現と予後
    ZAP-70 Expression and Prognosis in Chronic Lymphocytic Leukemia

    慢性リンパ性白血病における ZAP-70 の発現と予後

    慢性リンパ性白血病(CLL)細胞における免疫グロブリン遺伝子の変異は良好な転帰の前兆であるが,一方,変異がないことは不良な予後を示唆している.CLL 細胞上に ZAP-70 が存在することは,変異していない免疫グロブリン遺伝子および不良な予後と相関しており,一方,ZAP-70 が存在しないことは,変異遺伝子が存在し,転帰が良好であることを示唆していた.
    免疫グロブリン鎖の変異が予後に及ぼす重要性を発見したことは,CLL における大きな前進であるが,変異の検出は複雑で費用がかかるため,臨床診療はなかなか変化しにくい.しかし,フローサイトメトリーのある検査室ならどこでも ZAP-70 を測定できる.

GENOMIC MEDICINE

  • 造血系悪性腫瘍
    Hematologic Cancers

    造血系悪性腫瘍とは白血病とリンパ腫を指し,通常,遺伝性の突然変異よりむしろ造血細胞における体細胞突然変異に起因している.これらの悪性腫瘍の多くは,その形態と腫瘍マーカー抗原の存在に基づいて分類されている.この総説では,特定の白血病とリンパ腫を例にあげ,そのような腫瘍を診断するさいのゲノムアプローチ法である,相補 DNA の発現プロファイリングについて説明している.

CURRENT CONCEPTS

  • 薬物離脱の管理
    Management of Drug Withdrawal

    この総説は,アルコールやベンゾジアゼピン類等の鎮静薬,オピオイド類,あるいはアンフェタミン類やコカイン等の刺激薬に中毒になった患者の離脱治療のための最近のアプローチを概説している.また,解毒レジメンに関する詳細や,もっともよくみられる合併症を認識し,管理するためのガイドラインも取り上げている.

CORRESPONDENCE

  • 鉛曝露と慢性腎疾患

  • 幼児における尿路感染症後の画像検査

  • 卵巣癌における T 細胞

  • 肥大型心筋症と流出路閉塞

  • 高齢者における転倒予防

  • 分娩・出産のための局所麻酔と無痛法

  • 膀胱回腸瘻

  • サリドマイド療法による可逆性痴呆