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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

June 19, 2003
Vol. 348 No. 25

ORIGINAL ARTICLE

  • 前立腺癌における不顕性リンパ節転移の非侵襲的検出
    Noninvasive Detection of Occult Lymph-Node Metastases in Prostate Cancer

    前立腺癌における不顕性リンパ節転移の非侵襲的検出

    前立腺癌のある男性で,微小なリンパ節転移の検出に関して 2 つの方法が比較された:従来の核磁気共鳴画像法(MRI)と,酸化鉄コアを含むリンパ節親和性のナノ粒子を静脈内注射した 24 時間後に行う MRI である.後者の方法は,感度と特異性が従来の MRI よりも優れていることが証明された.
    この研究で報告された非侵襲的 MRI 法は,新たに診断された前立腺癌の男性における初期の精密検査を変化させ,最終的にはその治療法に影響を与える可能性がある.

  • 統合型 PET-CT を用いた非小細胞肺癌の病期分類
    Staging of Non--Small-Cell Lung Cancer with Integrated PET and Computed Tomography

    この前向き研究では,非小細胞肺癌の病期を放射線検査によって評価するに当り,陽電子放射断層撮影(PET)とコンピュータ断層撮影(CT)を統合したシステムは,いずれかを単独で用いるか 2 種類の画像を同時に視覚的に検査するよりも,精度が高かった.
    術前の病期分類は,非小細胞肺癌を管理するうえで非常に重要なステップである――それは,個々の症例における手術の適合性を決定するためだけでなく,手術を計画し,実施するに当って外科医の指針となるためである.

  • 余暇活動と痴呆のリスク
    Leisure Activities and the Risk of Dementia

    ベースライン時に痴呆ではない高齢被験者 469 例を対象にした前向き研究では,読書,ボードゲームをする,楽器を演奏するなどの活動が,痴呆リスクの有意な減少と関連していた.身体活動への参加は,痴呆リスクの減少とは関連していなかった.
    認知活動が,高齢者の痴呆リスクを減少させる可能性がある.

  • セリアック病の有病率
    Prevalence of Celiac Disease

    フィンランドの生徒・学童におけるこの研究では,血清自己抗体の存在に基づいてセリアック病を同定できることが明らかになり,有病率は小児 99 人につき 1 例と報告された.
    セリアック病の有病率は以前に考えられていた以上に高い可能性がある.特異的自己抗体や HLA 遺伝子型を前向きにスクリーニングすれば,無症候性疾患の患者を確認できる.

SPECIAL ARTICLE

  • 情報技術による安全性の向上
    Improving Safety with Information Technology

    情報技術は,医療過誤を防止し,有害事象への迅速な対応を促進することによって,患者の安全性を向上させる可能性がある.医師による処方のコンピュータ化が,薬剤に関連した過誤の発生率を減らす.重大な検査所見の異常の発見や集中治療室の患者の遠隔監視において,自動的に医師を呼び出すシステムも有望と思われる.

MECHANISMS OF DISEASE

  • IV 型コラーゲンに関連する疾患
    Diseases Involving Type IV Collagen

    IV 型コラーゲンに関連する疾患

    基底膜の形成に関与しているコラーゲン蛋白である IV 型コラーゲンの欠損は,遺伝性のアルポート症候群や後天性のグッドパスチャー症候群に関係している.IV 型コラーゲンの構成要素に対応する遺伝子の突然変異がアルポート症候群を引き起し,通常は IV 型コラーゲンの奥に隠されている構造に対する自己抗体がグッドパスチャー症候群を引き起す.

CLINICAL PRACTICE

  • 孤立性肺結節
    The Solitary Pulmonary Nodule

    60 歳の男性が肺炎の評価中に胸部 X 線検査を受け,1.5 cm の結節が発見された.男性はヘビースモーカーだが,肺疾患の既往はない.診察の結果に目立つ異常はみられない.この男性をどのように評価すべきであろうか?

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • セリアック病
    Celiac Disease

    数種類の穀物蛋白によってセリアック病(グルテン過敏性腸症としても知られている)が誘発される機序は不明である.いま,有力な候補が浮上した.消化に抵抗する 33 アミノ酸のペプチドである.そのペプチドは細菌酵素により分解されやすいため,新たな治療法の可能性をもたらしている.

CORRESPONDENCE

  • 急性冠症候群における可溶性CD40 リガンド

  • ダートマス大学における結膜炎の集団発生

  • デューク大学での死亡事例

  • クロモグラニン・セクレトグラニンファミリー

  • 有害事象への理解と対応

  • 人種とゲノム学

  • バリウムの誤嚥

  • マックル-ウェルズ症候群におけるインターロイキン 1 受容体拮抗薬