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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

March 18, 2004
Vol. 350 No. 12

ORIGINAL ARTICLE

  • ベトナムの患者 10 例における鳥インフルエンザ
    Avian Flu in 10 Patients in Vietnam

    ベトナムの患者 10 例における鳥インフルエンザ

    この報告では,通常ヒトには感染しない H5N1 型のインフルエンザウイルスに感染していることが示された患者 10 例について,その臨床症状が詳細に述べられている.患者はニワトリと直接接触した中央値で 3 日後に,発熱,呼吸器症状,ならびに急性インフルエンザ症候群(リンパ球減少と胸部 X 線写真における顕著な肺浸潤を特徴とする)を呈した.既存の疾患を有する患者はいなかったにもかかわらず,8 例が死亡した.
    これらの患者は,感染した家禽類から直接重症インフルエンザ A(H5N1 型)に感染したと考えられる.重大な懸念は,ヒトインフルエンザウイルスとの遺伝子再集合が起り,ヒトからヒトへの感染が可能な変異体が生じる可能性があることである.したがって,アジア全域で家禽類のインフルエンザ A(H5N1 型)を封じ込めることが,公衆衛生上の緊急の優先事項である.

  • 閉経後女性の骨粗鬆症に対するアレンドロネート ― 10 年間の結果
    Alendronate for Osteoporosis in Postmenopausal Women ― 10-Year Results

    閉経後女性における骨粗鬆症は,慢性かつ進行性である.骨粗鬆症の閉経後女性を対象にしたこの無作為多施設共同試験では,10 年にわたる毎日のアレンドロネート投与により,脊椎,転子,大腿骨頸部の骨密度が増加した.試験は 3 回延長された.安全性データからは,アレンドロネートの投与を中止すると効果は徐々に低下したが,投与延長によって骨折リスクに関する利益が低下することは示唆されていない.
    アレンドロネートは,10 年にわたる持続的で忍容性の高い効果をもつと考えられる.

  • 膵癌切除後の化学放射線療法と化学療法
    Chemoradiotherapy and Chemotherapy after Resection of Pancreatic Cancer

    膵癌切除後の補助療法に関するこの無作為試験では,フルオロウラシルを用いた化学療法が生存にもたらす有意な利益が明らかになった.化学放射線療法を単独で行っても,化学放射線療法後に化学療法を行っても利益は認められず,むしろ生存期間を短縮するようであった.
    この試験では生存の改善が報告されているが,膵癌患者の予後は依然として厳しい状況にある.

CURRENT CONCEPTS

  • 血小板増加症
    Thrombocytosis

    血小板増加症はほとんどの場合偶然に発見されるが,鑑別診断を行うことが重要である.反応性,あるいは続発性の血小板増加症の場合には,基礎疾患の治療が必要となる可能性がある.一方,クローン性の血小板増加症は,血栓性合併症および出血性合併症の双方に関連しているため,血小板を減少させる治療が必要となる可能性がある.この総説では,血小板産生に関する最近の知見についても概説している.

MEDICAL PROGRESS

  • リポジストロフィ
    Lipodystrophies

    リポジストロフィ

    リポジストロフィは,さまざまな要因が複合的に関与する遺伝性あるいは後天性の疾患で,脂肪組織の選択的な萎縮を特徴とし,罹患した患者はインスリン抵抗性やそれに伴う合併症を起しやすくなる.この総説では,臨床徴候,基本的な発症機序,さまざまなタイプの後天性および遺伝性のリポジストロフィの管理に注目している.
    多様な遺伝性リポジストロフィ症候群に関して,その遺伝的基盤が解明され始めている.これは,特徴的な臨床像や独特の脂肪組織分布パターンに基いた表現型の詳細かつ系統的な特徴付けと,分子生物学的手法を併せることで可能になった.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 呼吸器症状とショックを呈する 18 歳の男性
    An 18-Year-Old with Respiratory Symptoms and Shock

    18 歳の大学生が,咳嗽,発熱,筋肉痛を呈し,5 日後にショック状態となり入院した.集中的な輸液療法と昇圧薬の投与にもかかわらず男性の容態は悪化し,翌日死亡した.その後剖検が行われた.