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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

November 4, 2004
Vol. 351 No. 19

ORIGINAL ARTICLES

  • 2 型糖尿病における微量アルブミン尿の予防
    Preventing Microalbuminuria in Type 2 Diabetes

    多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為試験において,高血圧の 2 型糖尿病患者で尿中アルブミン値は正常な患者に,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬(トランドラプリル)と非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬(ベラパミル)を単独または併用投与し,糖尿病性腎症の前兆である微量アルブミン尿の出現を予防できるかどうかを検討した.トランドラプリルの単独投与またはベラパミルとの併用投与は有効なようであったが,ベラパミルの単独投与はプラセボと同程度であった.
    2 型糖尿病患者において,ACE 阻害薬は微量アルブミン尿の発症を予防または遅延させる可能性がある.

  • 2 型糖尿病におけるアンジオテンシン II 受容体遮断薬と ACE 阻害薬
    Angiotensin II-Receptor Inhibition and ACE Inhibition in Type 2 Diabetes

    アンジオテンシン II 受容体遮断薬とアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬は共に腎保護作用をもつが,糖尿病患者へのこれらの使用を直接,長期間比較した研究は行われていない.初期腎症を呈する 2 型糖尿病患者 250 例を対象にしたこの前向き多施設共同二重盲検試験では,テルミサルタン(アンジオテンシン II 受容体遮断薬)とエナラプリル(ACE 阻害薬)を比較し,両薬剤による糸球体濾過率の低下は同程度であることが明らかとなった.
    テルミサルタンは,初期腎症を呈する 2 型糖尿病患者に対する長期腎保護作用において,エナラプリルに劣らない.

  • トラコーマの予防を目的とした単回投与による集団治療
    Mass, Single-Dose Treatment to Prevent Trachoma

    トラコーマの予防を目的とした単回投与による集団治療

    トラコーマは失明の重要な原因であり,トラコーマ・クラミジア(Chlamydia trachomatis)感染により引き起される.トラコーマが流行しているタンザニアの地域において,住民 1 人ひとりにアジスロマイシンの単回投与を行った.24 ヵ月後,感染は実質的に地域から根絶された.
    抗菌薬の単回投与を含むプログラムは,慎重に行えば,この失明の原因となる感染の予防に非常に有効である可能性がある.これにより,現在推奨されている年 1 回の治療によるプログラムが必要ではなくなる可能性がある.

  • アシュケナージ系ユダヤ人におけるグルコセレブロシダーゼ遺伝子の変異とパーキンソン病
    Mutations in the Glucocerebrosi-dase Gene and Parkinson's Disease in Ashkenazi Jews

    パーキンソニズムと I 型ゴーシェ病の関連性が報告されている.この研究では,ゴーシェ病を引き起すグルコセレブロシダーゼ遺伝子(GBA)の変異と特発性パーキンソン病の関連性を検討した.アシュケナージ系ユダヤ人の特発性パーキンソン病患者について,診療所をベースとした一連の症例 99 例で,6 種類の GBA 変異のスクリーニングを行った.31 例(31.3%)に,1 つまたは 2 つの変異 GBA 対立遺伝子がみられた.
    この結果から,GBA のヘテロ接合性変異により,パーキンソン病に罹患しやすくなる可能性があることが示唆される.

CLINICAL PRACTICE

  • 膜翅目に対する過敏症
    Hypersensitivity to Hymenoptera

    膜翅目に対する過敏症

    29 歳の男性が,自宅の外で,ミツバチかスズメバチに刺されたと報告している.男性は,そこに巣があることに以前から気付いていた.すぐに皮膚瘙痒,びまん性の蕁麻疹,上肢・下肢の腫脹,咽喉の圧迫感,眩暈,会話困難が発現したため,男性は地域の診療所へ運ばれ,エピネフリンと抗ヒスタミン薬の投与を受けた.2 時間の経過観察後,症状はすべて消失した.このあとこの男性をどのように管理すべきであろうか?

MEDICAL PROGRESS

  • 新生児脳損傷
    Neonatal Brain Injury

    新生児脳損傷

    新生児期に脳卒中を起した乳児の 95%以上が成人に達するが,その多くには運動障害や認知障害が残る.この論文では,リスクのある新生児を最新の神経画像法で評価し,合理的な介入計画と組み合せることで,脳性麻痺,てんかん,行動・学習障害など生涯にわたる障害の発生を,予防または減少させられる可能性が主張されている.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 特別な治療
    Special Cure

    42 歳の白人男性が,8 ヵ月にわたる腰,股関節,足関節,足の痛みで受診した.16 ヵ月間の投獄中に,痛みは徐々に激しくなり,歩行に支障をきたすほどになっていた.また,食生活を変えたわけでもないのに体重が減少した(76.2 kg から 67.6 kg へ減少).

SOUNDING BOARD

  • 薬剤師は緊急避妊薬の調剤を拒否することができるか?
    May Pharmacists Refuse to Fill Prescriptions for Emergency Contraception?

    薬剤師が緊急避妊薬の処方箋の調剤を拒否した例に関して,詳しく書かれた報告がいくつかある.薬剤師には,これらの薬物の入手を阻む権利があるのであろうか? この“Sounding Board”では,拒否権に関する賛否両論を議論し,この問題に対するバランスのとれた解決策を提案している.