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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
August 26, 2004
Vol. 351 No. 9
ORIGINAL ARTICLE
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移植までのつなぎとしての全置換型人工心臓
A Total Artificial Heart as a Bridge to Transplantation心臓移植の必要がある重症患者では,移植待機リストが長いために移植までの「つなぎ」が必要となる場合がある.つなぎ治療では,左心補助人工心臓の使用が一般的であるが,すべての患者がこの候補となるわけではない.この試験では,81 例の患者が移植までのつなぎとして全置換型人工心臓を使用した.79%が生存して移植を受け,70%が 1 年の時点で生存していた.
移植までのつなぎとしての全置換型人工心臓の使用は,生命を救う有効な戦略である. -
小児ネフローゼ症候群におけるグルココルチコイドと骨塩量
Glucocorticoids and Bone Mineral Content in Childhood Nephrotic Syndromeグルココルチコイド感受性ネフローゼ症候群は,単独で骨に及ぼす影響はごくわずかしか知られていない疾患である.この研究は,この疾患の小児・青年において,グルココルチコイドを用いた長期治療が成長期の骨塩量に及ぼす作用を検討することを目的として計画された.
全身と脊椎の二重エネルギー X 線吸収測定法により,成長期における高用量グルココルチコイドの間欠的な使用は,骨塩量の欠乏とは関連がないようであることが示された. -
外陰・腟カンジダ症の維持療法
Maintenance Therapy for Vulvovaginal Candidiasis再発性カンジダ症の女性 387 例を組み入れたこの二重盲検試験では,フルコナゾール 150 mg/週を投与する治療法の有効性を評価した.治療終了から 6 ヵ月後にカンジダ症の再発がみられなかったのは,フルコナゾール群の女性で 90.8%であったのに対し,プラセボ群では 35.9%であった.
フルコナゾールによる維持療法は有効であると考えられるが,外陰・腟カンジダ症の長期治癒を達成するのは困難である. -
急性呼吸窮迫症候群に対する遺伝子組換え型サーファクタント蛋白 C をベースとした サーファクタント
Recombinant Surfactant Protein C- Based Surfactant in the Acute Respiratory Distress Syndrome急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は,気道で機能性のサーファクタントが欠乏することが原因である.この研究者らは,ARDS 患者を遺伝子組換え型ヒトサーファクタント蛋白 C をベースとしたサーファクタントで治療する,多施設共同試験を実施した.
サーファクタント補充療法を成功させるためには,患者の選択方法を改善するか,より効果的なサーファクタントや投与スケジュールを明らかにする必要があると考えられる. -
CLL におけるリスク予測因子としての ZAP-70
ZAP-70 as a Predictor of Risk in CLL慢性リンパ性白血病(CLL)のたどる臨床経過の多様性は,治療に関する決定を困難にしている.CLL 患者 300 例以上において,細胞内チロシンキナーゼ ZAP-70 の白血病細胞内の発現レベルは,診断から治療までの時間の中央値ともっともよく相関していた.
ZAP-70 の測定は,CLL 患者における予後予測の標準的な指標となる可能性がある.
CLINICAL PRACTICE
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急性細菌性副鼻腔炎
Acute Bacterial Sinusitis43 歳の男性に,2 週にわたる鼻閉,後鼻漏,疲労感がみられる.男性は,市販の鼻充血除去剤とアセトアミノフェンを使用しているが,症状は軽減していない.この数日間に,顔面に疼痛と圧迫感が現れ,充血除去剤の効果はみられていない.さらに,鼻汁は透明から黄色に変化している.男性をどのように治療すべきであろうか?
HEALTH POLICY REPORT
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製薬業界 ― 価格と進歩
The Pharmaceutical Industry - Prices and Progressこの“Health Policy Report”では,製薬業界の経済問題について考察している.研究開発費,特許法,健康保険適用のすべてが薬剤の価格設定を左右している.著者は,薬剤の研究開発に関する複雑な経済問題から生じる政策のジレンマについて述べ,価格調整において可能性のある方策を概説している.
CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL
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歩行,認知,自律神経機能に障害を有する女性
A Woman with Disturbances in Gait, Cognition, and Autonomic Function79 歳の女性に,18 ヵ月にわたって度重なる転倒と記憶喪失がみられた.女性には,体幹性運動失調,歩幅の広い歩行,ロンベルグ徴候,筋トーヌスと歯車様固縮の亢進,そして振動感覚と固有感覚の低下がみられた.その後 2 年のあいだに発声不全,構語障害,燕下困難をきたし,切迫尿失禁と便秘も認められた.患者は疾患の発症から 5 年後に死亡した.