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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

December 1, 2005
Vol. 353 No. 22

ORIGINAL ARTICLE

  • ハイチにおける抗レトロウイルス療法
    Antiretroviral Therapy in Haiti

    この論文では,ハイチのポルトープランスの診療所で,多剤併用抗レトロウイルス療法を受けた最初の AIDS 患者 1,004 例の転帰について報告している.貧困,栄養失調,結核の割合が高いにもかかわらず,その転帰は先進国と同等であった.このことは,発展途上国の AIDS 患者が抗レトロウイルス療法を受けられるようにするための,国際的な取り組みを支持する根拠となる.

  • 従来型抗精神病薬と非定型抗精神病薬による死亡リスクの比較
    Risk of Death with Conventional vs. Atypical Antipsychotic Medications

    最近,米国食品医薬品局(FDA)は,非定型抗精神病薬(オランザピン,リスペリドンなど)による治療により,高齢患者において死亡率が上昇するという報告を発表した.この研究では,非定型または従来型(ペルフェナジン,チオリダジンなど)の抗精神病薬を使い始めた高齢者の死亡率を比較した.従来型の薬剤は,より高い死亡率と関連していた.したがって高齢者では,死亡リスクを減らす目的で非定型薬から従来薬に変更すべきではない.

  • 同種移植腎レシピエントの尿中 FOXP3 メッセンジャー RNA
    Messenger RNA for FOXP3 in the Urine of Renal- Allograft Recipients

    著者らは,腎移植を受けた患者において,尿中の T 細胞マーカー FOXP3 の mRNA 量に加え,CD25,CD3 ε,パーフォリン,18S リボソーム RNA の mRNA 量を測定し,その結果と生検所見や腎機能との相関を検討した.FOXP3 mRNA のみが急性拒絶反応を起した患者の血清クレアチニン値と逆相関を示したことから,FOXP3 mRNA 量の測定は,急性拒絶反応の転帰を予測する,非侵襲的な方法である可能性がある.

BRIEF REPORT

  • 薬物による中絶後の Clostridium sordellii によるトキシックショック症候群
    Toxic Shock Syndrome Associated with Clostridium sordellii after Medical Abortion

    著者らは,ミフェプリストン(mifepristone)の経口投与とミソプロストールの腟内投与による妊娠中絶から 1 週間以内に,C. sordellii に起因する子宮内膜炎とトキシックショック症候群を発症して死亡した,4 例の症例について報告している.臨床所見として,頻脈,低血圧,浮腫,血液濃縮,著明な白血球増加などがみられたが,発熱はなかった.

CLINICAL PRACTICE

  • 原因不明の脳卒中を発症した若年成人における卵円孔開存
    Patent Foramen Ovale in Young Adults with Unexplained Stroke

    38 歳の男性が,読書中に右視野の視力が突然喪失したことに気づいた.男性には重大な病歴はなく,喫煙や飲酒,違法薬物の使用はないと述べている.身体診察では,右同側性半盲が認められるが,それ以外に異常はない.MRI では,急性の左後頭葉梗塞が認められるが,頭頸部血管は正常である.経食道心エコー検査で,心房中隔瘤を伴わない卵円孔開存が判明した.この所見にはどのような意味があるのであろうか? また,どのような治療法を勧めるべきであろうか?

DRUG THERAPY

  • アテローム血栓症を予防するための低用量アスピリン
    Low-Dose Aspirin for the Prevention of Atherothrombosis

    この総説では,アテローム血栓症の予防における低用量アスピリンの役割について考察している.さまざまな患者集団における利益とリスクにとくに重点をおきながら,アスピリンの作用の分子機構や,抗血小板薬としてのアスピリンの臨床研究・疫学的研究について論じている.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 議論の穴
    A Hole in the Argument

    80 歳の男性が,食道裂孔ヘルニア修復術から 4 週間後に,息切れと倦怠感の評価を受けに来院した.男性は,軽度の乾性咳嗽と腹部膨満を訴えた.手術前は非常に活動的で,呼吸困難をきたしたことはなかった.

SOUNDING BOARD

  • 公衆衛生の原則と HIV 流行
    Public Health Principles and the HIV Epidemic

    HIV 感染の大半は,感染に気づいていない人によって広まっている.この論文は,自発的検査の普及,感染者のパートナーへの通知方法の改善,詳細なモニタリングによる症例管理など,これまでに他の感染症を制圧し,効果が証明された対策を導入する時期がきたと論じている.米国では,こうした方法によって毎年,全 HIV 感染の半数以上を防げる可能性がある.