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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

August 3, 2006
Vol. 355 No. 5

  • インディアナ州における麻疹の集団発生
    Measles Outbreak in Indiana

    2005 年,ルーマニア旅行からインディアナ州の自宅に戻った 1 人の学生が発端となり,麻疹の集団発生が起った.この学生が出席した教会の集会において感染リスクのあった 35 名のうち,32 例(91%)がその後麻疹に罹患した.医療従事者 1 名も感染し,重度の呼吸困難を呈して人工呼吸器による補助を必要とした.

    • 糖尿病の原因としての変異スルホニル尿素受容体
      Mutant Sulfonylurea Receptor as a Cause of Diabetes

      スルホニル尿素受容体は,β細胞の ATP 感受性カリウムチャネルの構成要素の 1 つであるが,この研究では,新生児糖尿病の乳児におけるこの受容体をコードする遺伝子の変異について説明している.これらの患児の一部では,スルホニル尿素薬を用いた治療によって,インスリンからの離脱に成功した.

      • Kir6.2 変異による糖尿病における経口スルホニル尿素薬投与
        Oral Sulfonylureas in Diabetes with Kir6.2 Mutation

        β細胞の ATP 感受性カリウムチャネルは,2 つのサブユニット SUR1 と Kir6.2 で構成されているが,このチャネルが正常に機能することがインスリン分泌には重要である.この研究では,Kir6.2 変異に起因する糖尿病患児 49 例中 44 例で,インスリン皮下注射から,経口スルホニル尿素投与への切替えに成功したことが示されている.

        • 院外心停止における蘇生中止に関する基準の検証
          Validation of a Rule for Termination of Resuscitation in Out-of-Hospital Cardiac Arrest

          院外心停止時の蘇生中止に関する臨床的な予測基準を,除細動器の使用訓練を受けている救急救命士(EMT)の処置を受けた患者,1,240 例を対象とした研究で検証した.EMT に目撃されていない心停止では,自発循環の回復はなく,カウンターショックは行われず,生存率は 0.5%であった.

          • 慢性静脈疾患
            Chronic Venous Disease

            慢性静脈疾患に関するこの報告は,この疾患の臨床面を要約し,疾患の根底にある流体力学的変化と生化学的変化の研究における近年の進歩について概説している.

          • CLINICAL PROBLEM-SOLVING

            • 右側の急転
              A Sharp Right Turn

              60 歳の男性が,直腸出血,失神,右足痛で救急部を受診した.その 5 日前に,体動により増強する放散性の腹痛が発現し,悪心,食欲不振,倦怠感を伴っていた.入院の少し前,肉眼的血便と血尿が一度みられ,その後右足の激痛に見舞われ失神を起した.

            CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

            • C 反応性蛋白の抑制と心筋損傷
              Inhibition of C-Reactive Protein and Myocardial Damage

              冠動脈閉塞のラットモデルを使用した最近の研究で,1.6‐ビス(ホスホコリン)‐ヘキサンによる前治療は,ヒト C 反応性蛋白による心筋損傷の増大を抑制することが示された.

            OCCATIONAL NOTES

            • 皇帝チャールズ 5 世の痛風
              The Gout of Emperor Charles V

              神聖ローマ帝国皇帝チャールズ 5 世は,成人早期から痛風発作を起していたことが知られている.この研究は,ミイラ化した皇帝の指のうち,1 本の末節骨を調べ,それをもとに臨床診断に客観的確証を加えるものである.その分析から,骨を浸食し軟部組織へ拡大する,典型的な痛風結節が証明された.